世界的ファッションデザイナーのコシノジュンコ氏(82)が15日、大阪市のタカラベルモント大阪本社で行われたトークイベントに登場した。

 理美容機器、化粧品の製造・販売を行う同社は先月5日に創業100周年を迎えた。100周年を記念し「美しく生きる喜び~1970年大阪万博から始まる美の哲学~」と題し、大阪万博にパビリオン「タカラ・ビューティリオン」出展を果たした際の資料やコンパニオンのユニホームなどを一般公開する(12月17日まで)。

 同パビリオンは建築家の故黒川紀章さんがプロデュースと展示館の設計を手掛け、コシノ氏がユニホームをデザインした。

 コシノ氏と黒川氏の出会いは、新宿にある文化人が集まるパブだったという。「『僕の作品見てくれる?』ってジャガーに乗って赤坂に連れて行ってくれて、作品を見せてくれた。カッコよかった。それがきっかけで万博になった。お互いに共鳴するものがあった」と回顧。

 ユニホームのデザインについては「他にないものをいかに作るかがテーマだった。黒川さんは斬新な人で、それに合うか合わないか対抗するみたいな感覚でした」と振り返った。

 コシノ氏は2025年の大阪・関西万博で、専門的見地から助言を行うシニアアドバイザーを務めるが、「選ばれた理由は70年を知ってるからだろうけど、知りすぎてもつまらない。過去にあったものを忘れないと次につながらない。以前の万博とは違う」ときっぱり。

 続けて「見て終わりではなく(人の心に)影響しないといけないし、過去に見たことがないものを見せるのはプレッシャーもあるし、難しい。みんな同じことを考えるから」とプロデュースの難しさを吐露しつつ、「今回は周りが海で過去に島で(万博を)やったことはない。海は世界につながっているし、どうやって味方に入れるか。『いのち輝く未来社会のデザイン』なので、生き物をどう生かしていくか。コロナも体験して、いかに命の大切さを形にするか。テーマとしては面白い。今は模索中ですけど、やると決めたらやるしかない。大阪はいざとなったら団結力が強烈ですから」と開催に向けて意欲をみなぎらせていた。