日本ハム・斎藤佑樹投手(33)が今月1日に現役引退を発表。17日のオリックス戦(札幌ドーム)で引退セレモニーを行い、プロ野球人生にピリオドを打つことになった。

 ファンの記憶に色濃く刻まれているのは高校時代の活躍だろう。早実のエースとして出場した2006年夏の甲子園で、駒大苫小牧の田中将大(楽天)と引き分け再試合の決勝で投げ合って優勝。炎天下のマウンドで流れる汗をハンカチで拭うしぐさが女性ファンに人気を博し、名付けられた愛称「ハンカチ王子」は流行語となった。

 その効果は絶大だった。斎藤が使用した青いハンカチの製造メーカーのニシオ株式会社(大阪市中央区)は全国から同商品の注文が殺到し、売り切れが続出。同社に先駆けて「ハンカチ王子」の商標を出願する企業も現れるなど社会現象となった。同年11月にニシオはサンリオとコラボして「幸せの青いハンカチ」(1枚500円)を発売し、瞬く間に完売したが、あれから15年たった今、ハンカチはどうなっているのか?

 本紙は同社に問い合わせ、西尾武志社長を直撃した。電話に出るなり「何の要件が分かりますよ」と笑い、現状を説明してくれた。

「もう15年も前ですから、現実的にはほぼ販売終了しています。在庫はゼロではなく何枚かありますが、もうひと段落し、売れる商品でもないので流通していないのが実情ですね」

 では、今回の引退を機に「記念に欲しい!」という客が現れたら? 西尾社長は「それは可能だと思います。ただ、今のところそういう声はないです」と話す。

 妙な縁でつながった斎藤に対し、西尾社長は「当時のことは鮮明に覚えています。プロではケガもあってなかなか活躍できませんでしたが、それも頑張った結果だと思います。あのスター性なら引退してからも引く手あまたでしょう。これからの活躍を祈ります」とエールを送った。

 ハンカチで始まった佑ちゃん伝説。そのエンディングとなる引退試合のマウンドでハンカチを取り出し、涙をぬぐうエンディングはいかがだろうか。