参院議員の辞職に伴う静岡、山口両選挙区補欠選挙が7日告示された。投開票は24日。岸田政権が発足して初の国政選挙となる。その山口補選で「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」(NHK党)公認で立候補した元迷惑系ユーチューバーのへずまりゅう氏(30)がまんまと“全国ジャック”に成功した。

 昨年、へずま氏は新型コロナに感染したとみられる中で出身地の山口県内を移動し、騒動になった。NHK党の立花孝志党首(54)から「このタイミングで補選があるのは、へずまに出ろということ。県民に謝罪すればいい」との打診に応じていた。

 へずま氏は「お詫びに徹したい」と「ごめんなさい」とプリントされたタスキを着け、山口県庁前での第一声も「山口県知事、ゴメンなさいでした!」と謝罪のみ。選挙カーでの遊説でも「すいませんでした」「徳山大学卒業のへずまりゅうです」と謝罪と地元愛の言葉を繰り返した。

 同選には自民党公認の北村経夫氏(66)、共産党公認の河合喜代氏(61)が立候補している。通常の国政選ならへずま氏の第一声はローカルニュースで終わるところだが、今回は2地区だけで行われる補選であり、19日公示の衆院選(31日投開票)の前哨戦とあってNHKの全国ニュースで放送された。

 立花氏はへずま氏の擁立で、NHK党のアピールと若者への政治参画を訴える狙いがあったが、成功。へずま氏もユーチューブでの発信が事実上絶たれ、他のSNSに活路を見いだそうとしている中、全国ニュースで放送されたのだから“してやったり”だ。

 立花氏は「なんで立憲民主党は山口に候補者を出していないのか?」と戦略ミスを指摘しつつ、「(へずま氏の得票が)8%取れたらすごい。最低でも5%はいくのではないか。さすがに供託金ライン(供託金300万円が返還される)の11・5%を超えることはないと思うが、自民、共産の候補が出ている中で、どう得票するかは来年の参院選へ向けても参考になる」と期待を込めた。

 ちなみにへずま氏は1万票を得票できなかった場合、SNSからの引退を表明している。