緊急事態宣言下で新型コロナウイルス対策もテキトーなまま決行された野外フェス「NAMIMONOGATARI(波物語)」(8月29日、愛知・常滑市)で14日までに、6都道府県で計44人の感染者が確認されている。そのうち、愛知のクラスター(感染者集団)は26人。

 一連の問題は「密フェス」と称され、音楽イベント自体がイメージダウンするなど、余波が拡大している。

 音楽業界が頭を抱える中、自身のソロライブをあえて「汚名返上」と銘打ち、新型コロナ対策も徹底して音楽業界から称賛されたラッパーがいた。東京・葛飾の下町出身のラッパー、ZORN(ゾーン=32)だ。

 1月に東京・日本武道館でソロライブを成功させ、ヒップホップ界で支持されている。

 ZORNは今月12日、横浜アリーナでソロライブを開催。ライブ名は当初「無題」だったが、急きょ「汚名返上」に変えた。関係者は「ZORNさんは『波物語』に出演しておらず、ほかのラッパーとも一線を画していますが、横アリのライブでは、失墜した音楽イベントのイメージを回復したいとの思いを込めて『汚名返上』と銘打ったようです」と語る。

 当日は入退場時に観客が出入り口に群がらないように規制。ライブ中に観客は着席で、声出しはNG。換気する時間もあり、「上品なコンサートみたい」と苦笑いするファンもいたという。

 ZORN側に問い合わせると、担当者は感染対策を徹底したことは認めつつ、それ以上の取材対応はなかった。

「波物語」では、MCを務めた俳優でラッパーの真木蔵人(48)がマスク着用を呼びかけていたことが明るみに出て、称賛された。

 音楽イベントでは、石野卓球やきゃりーぱみゅぱみゅらが出演する「スーパーソニック」(18、19日、千葉)などが控える。江戸っ子ラッパーの横アリライブは、今後の音楽イベントのモデルケースになりそうだ。