伝説のロックバンド・横浜銀蝿が結成40周年を迎えた昨年、「横浜銀蝿40th」として完全復活した。8日には新アルバム「ぶっちぎり249」をリリース。歌詞がたった2つしかない渾身(こんしん)のバラードに込めた思いを明かした。

 デビュー40周年の昨年、オリジナルメンバー4人で復活。満を持して発売したアルバムには、「逢いたくて 逢いたい」という斬新なバラード曲が収録されている。

 なんと歌詞は「逢いたくて」と「逢いたい」の2ワードだけ。詞を書いたメインボーカルの翔(63)は、コロナ禍で再結成したのにメンバーと会えず、リハーサルもできない期間を過ごした。

 周りにも「今は友達に会うなんて感覚がない」と語る医療従事者、骨折で入院した妻と1か月以上面会できない友人も…。〝それってあっちゃいけない状況だよね〟と翔はふと思ったという。

「おっきな人生の中では、くだらない話でも会って話したことが心の支えになったり、顔をただ見てちょっと話しただけで安心したり幸せになったりとかすると思うのね。ましてや入院して1人で苦しんでる奴のとこに、仲間が来て『おい、どうだよ。元気出せよ』って言ってくれるのが、よっぽどの治療薬じゃないかって」。

 こんな気持ちが「『会いたい』ってみんなが言えて、人と会いたくなるような歌を作ってやろう」と原動力になった。

「それでいろいろ歌詞を考え始めたんだけど、考えれば考えるほどあまりにもその状況がデカすぎて、伝えたいことがいっぱいありすぎて…。あ、だったら『逢いたくて 逢いたい』というその2文字だけで曲を作ろうと決めて、タイトルを決めたんですよ」

 ギターを弾き歌っていたら、すごくいいメロディーが降りてきた。それは銀蝿結成前、高校でもバンドを組んでいたJohnny(63)が作った曲「ひとりぼっち」のメロディーだった。

 当時、翔とJohnnyはよく歌っていたが、ボツにしていた未発表曲。これをベースに「逢いたくて 逢いたい」は完成した。

「覚えてる?」と翔にデモテープを聴かされたJohnnyは「え? 何の曲?」と忘れていたそうだが、「いいじゃん翔君!」と大興奮。「こんなときだから早く出したい」という翔の意を汲み、3月にデジタル先行配信となった。

 銀蝿解散の5年後、Johnnyはキングレコードに入社し、今やお偉方。これまで裏方として、中山美穂やAKB48らを育て上げてきた。銀蠅再結成に加わったのは、実に解散以来37年ぶり。自作曲に2ワードしか乗せてくれなかった翔について聞くと「高校のときからワードセンスは抜群だった。時世を切り取るセンス抜群で、この2ワードで曲を1つってのは逆に〝これはスゴイな〟と思いましたよ。さえてるなと」と絶賛していた。

「横浜銀蝿40th」は来月からファイナルツアーをスタート。全国11都市を回り、活動は年内で終了する。