東京五輪・パラリンピックの全日程が終了し、早くも2030年札幌五輪の開催是非を巡る論争が巻き起こっている。

 パラリンピック閉会式から一夜明けた6日、大会組織委員会の橋本聖子会長(56)は「もし組織委員会会長の依頼があれば、ぜひ受けさせていただきたい」と発言。さらに今大会で達成できなかった「完全な形」のフルスタジアム開催に意欲を見せた。

 これに対して五輪反対派は過敏に反応。すでに「もう五輪はうんざり」「地元民だけどノーサンキュー」「カネがかかるだけで迷惑」との声が挙がる中、東京大会中止のオンライン署名で46万筆を集めた弁護士の宇都宮健児氏は「橋本会長はなぜ批判されたのか全く分かっていない。国民の感覚とズレている。今大会の総括をする前に先の五輪の話をするなんてとんでもない」と憤慨した。

 宇都宮氏は署名活動を行う中で国民の声を間近に感じたといい、世論の変化について「最初は新型コロナウイルスの感染拡大を指摘して批判していた方も、途中からは特権意識に満ちた国際オリンピック委員会(IOC)や商業主義に走る五輪自体の在り方に批判の目が広がっていきました」と振り返る。それを踏まえた上で「今から札幌五輪のことを話すのではなく、どれだけカネがかかったのか、五輪のために作った会場の維持費はどうなるのか、そこを全部明らかにしないといけない。赤字を補填するのは国民の税金ですから」と指摘した。

 大会前には署名を集約して要望書を橋本会長あてに提出。しかし、今のところ「何のリアクションもない。批判の声を真摯に受け止めていないし、受け止めようともしていない」(宇都宮氏)。中止の署名には区切りをつけるが、大会の事後処理にも目を光らせるという。

 一方、賛成派からは「コロナが終われば問題ない」「今からケチをつけることもない」「普通にフルスタジアムの五輪を楽しみたい」との声が挙がる。今大会が無観客開催となったため、「次こそは」との意見も根強い。

 現在、札幌市の他にソルトレークシティー(米国)やピレネー・バルセロナ(スペイン)も招致に名乗り。札幌は五輪開催実績があり、東京大会のマラソン・競歩を実施した経緯もあるだけにIOCが有力視していると言われている。