何とも奇怪なスキャンダルだ。日本維新の会と大阪維新の会の副代表を務めていた今井豊大阪府議(64=貝塚市選出)が26日、府議を辞職した。これはニュースサイト「デイリー新潮」が25日、今井氏が大阪府貝塚市の藤原龍男市長から違法な献金を受け取っていたと報道したのがきっかけだが、不思議なのは不倫疑惑を直撃された同氏が、なぜ自ら闇献金の授受を告白したか、だ。舞台裏を取材すると、市長の座を巡る〝超ドロドロ暗闘説〟が流れている――。

 今井氏は橋下徹元大阪府知事や松井一郎大阪市長とともに、2010年に結成された地域政党「大阪維新の会」の創設者の1人で、昨年11月まで党幹事長を務めた重鎮だ。昨秋否決された「大阪都構想」の制度案をつくる法定協議会の会長などを務めた。

 同氏は、26日午前中に議会事務局に辞職願を提出。大阪府議会・鈴木憲議長が辞職を許可した。

 この日、大阪府の吉村洋文知事は「今井議員は自ら辞職でケジメをつけたということ。議員として政治家として最も重い責任の取り方。自ら厳しく律しなければと判断されたのだと思う」と話した。地元関係者が言う。

「もともと新潮が狙っていたのは、不倫疑惑でした。お相手は今井さんの事務所で働く60代の経理担当事務員です。離婚歴があり、現在は独身。10年ぐらい前から働いています。たしかに今井さんは新地界隈でよく遊び回っていましたから、そんな疑惑を持たれてもおかしくはない。パイプカットしたのも、嫁さんが『隠し子いるんちゃうん?』と疑っていたから。たしか3人目が生まれた後、嫁さんから『パイプカットしろ』と言われてやったらしい」

 新潮が直撃すると、今井氏は不倫疑惑を真っ向否定。その代わり貝塚市の藤原市長からの、累計100万円に及ぶ闇献金を告白したのだ。同サイトによると、12年前に30万円、8年前に20万円、今春に50万円の3回で、領収書はなし。そのお金を不倫疑惑の女性に預けていたという。藤原市長も同サイトの取材に事実と認めており、公職選挙法違反にあたる可能性がある。

 だが、なぜ辞職必至のスキャンダルをあえて自分から告白したのか? ここが最大の疑問だ。しかも藤原市長の実名まで出せば、影響は同市長にも及ぶ。そのため、今井氏周辺ではさまざまなウワサが流れているが…。

「嫁さんに不倫関係をバレたくないから、もっと大きいスキャンダルでケムにまいたんじゃないかとか、面白おかしく言われていますね。ただ、維新や藤原市長に迷惑をかけることを考えると、リスクが大きい気がする」(前同)

 そんな中、府政関係者から別の説がもたらされた。貝塚市長のイスを巡るドロドロの暗闘説だ。

「今回報じられた相手かは分かりませんが、以前今井氏の不倫を告発するような情報が飛び交ったことがある。それでもう自分はダメだと思った今井氏は、藤原市長を道連れにしようとしたのではないか、と。実は、貝塚市長になりたいある人物が、維新公認で出馬するという話がまことしやかに流れているからです」

 この人物は、一度今井氏に公認を願い出たものの、固辞されたという。ところが最近、今井氏と藤原市長の関係に亀裂が入ったため、ゴーサインを出したというのだ。

「藤原市長は違法性を否定しているため、辞職するかはわかりませんが、少なくともダメージは与えることができる」(前同)

 大阪市長で日本維新の会の代表でもある松井氏は25日、「個人的に異性の問題、複数の問題が生じているけれど、それ以上は聞いていない」とコメント。そのうえで「法に触れるようならことなら潔く議員辞職だと思う」と結党以来の戦友を突き放した。

 藤原市長の任期満了日は来年2月10日。あと半年の間にどんな動きがあるか、注目だ。