辻萬長さんが腎盂がんで死去 闘病のため7月に大河ドラマを降板していた

2021年08月23日 17時05分

辻萬長さん
辻萬長さん

 俳優の辻萬長(つじ・かずなが)さんが18日、腎盂(じんう)がんのため77歳で亡くなったことがわかった。23日、所属事務所のワタナベエンターテインメントが発表。葬儀・告別式は家族葬で執り行った。

 辻さんは今年7月、腎盂がんを患っていたことを公表。治療のために、来年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の出演を降板していた。

 最近ではNHK朝ドラ「なつぞら」や、TBS系「ノーサイド・ゲーム」などにも出演していた。

 所属事務所の代表取締役社長・渡辺ミキ氏は以下、コメントを発表した。

 辻萬長は、数々の名作演劇作品の柱となった、かけがえのない俳優でした。とりわけ、日本を代表する劇作家・井上ひさし氏の作品への貢献は多大なるものでした。2010年の井上ひさし氏逝去後も、俳優として、作家を直接知らぬ観客や演劇人達に、井上氏の遺志を伝え続けました。そして、役を通して、作品を重層的に表現することが出来る、唯一無二の演技力を持つ俳優でした。それは時として、作家自身が意図をせぬ面にまで及び、作品をより高みへと押し上げ、支えたのです。

 辻萬長は、作品づくりにはなくてはならない存在で、多くの作家や演出家に愛され、頼られました。演出家・蜷川幸雄氏の作品にも数々出演し、2016年の蜷川氏の葬儀には、「自分は稽古を続け、蜷川作品をより深める」と稽古場を離れず、最後の蜷川演出作品「尺には尺を」を力強く作り上げました。

 演劇における遺作となったのは、2020年7月公演の三谷幸喜氏作・演出による「大地」です。井上ひさし氏達からバトンを受け取った世代の三谷幸喜氏が辻萬長に当て書きした役は、辻の俳優人生のラストに相応しい働きをしました。コロナ禍でストップしていた演劇業界の再開公演にもなったこの「大地」で、辻萬長が最後に語った「観客無しで演劇は成立しない」という趣旨の台詞は、多くの演劇人と観客の想いでもありました。

 人生の最期まで良い芝居をしようと切磋琢磨を続けた稀代の名優・辻萬長の仕事は、これからは共に芝居を作った仲間である作り手、そして同業者である俳優の皆さんたちの表現の中に生き続けるのだと思います。

 それは、辻萬長が井上ひさし氏や蜷川幸雄氏から受け継いで、次の時代に演じ、渡したように。

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