昭和の歌謡界を彩った名音楽プロデューサー・酒井政利さん(享年85)が16日に心不全で他界していたことが19日、分かった。

 多くの報道陣を集めた最後の公の場は、今年3月22日に都内で開催された「第53回ミス日本コンテスト2021」の最終審査。酒井さんは審査委員長で、コンテスト終盤、締めの言葉で檀上に立った。だいぶ痩せた印象だが血色は良く、スーツをシックに着こなし、足取りも滑舌もしっかりしていた。

 コロナ禍での審査は〝密〟を避けなければいけないため難しかったが、酒井さんはスピーチ冒頭で、「今、密な部分がありますね。ですから(出場者に)あまり近付けないというか、あなた方の内面のその奥にある密みたいなのも、見抜くわけにはいかないわけです」と正直に吐露。

 前日の選考会では「何かが物足りない」と感じたそうで、酒井さんは「あなたたち若いんだから、何かこう、物事と戦うという…。戦うって言っても別に、敵に向かってじゃないですよ」と自身と戦う力を訴えた。

 ただニコニコ笑ったりするだけは「もう古い!」とし、「これからの女性に言えるのは、やはり戦う力が必要なんです!」と語気を強めた。

 最後は「ちょっと辛口になりましたけど…」と会場の笑いを誘い、物腰柔らかな普段の酒井さんに戻っていた。