先月末にNHKを定年退職した大越健介氏(59)が10月から「報道ステーション」(テレビ朝日系)のメインキャスターを務めることになった。突然の退職劇にNHKとのケンカ別れ、衆院選出馬もウワサされた大越氏だが、華麗なる転身に成功した。

 大越氏は長く政治記者を務め、ワシントン支局長を経て、「ニュースウオッチ9」のキャスターに就任。お茶の間の顔として、評価は高かったが、2015年に降板。当時、安倍政権批判ともとれる姿勢に官邸からNHK上層部に横ヤリが入ったともいわれた。以来、NHK内で干されたとの見方もあった。

 そんな大越氏の退職が明らかになると、永田町では政界転身かと騒がれた。

「大越さんほどの実力ならNHKに残ることもできた。タイミング的に衆院選が間近で、安倍政権との軋轢から不遇をかこっていただけに『立憲民主党が触手を伸ばすのではないか』『いや自民党幹部と太いパイプがあるので地元の新潟から出馬では』などと騒がれました」(野党幹部)

 ところが、フタを開けてみれば、「報ステ」で月~木曜日のメインキャスターの座を射止めた。

「コロナ禍で各局は出演料の大幅削減に追われているが、報ステのメインキャスターとなると1回の出演料は50~100万円は堅い。年1億円以上の収入となる。ほかの局での仕事もできるし、NHK時代も給料は高かったとはいえ、軽く数倍は稼ぐことになる」(テレビ局関係者)

 また大越氏がインタビュアーを務めた渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆(95)のNHK特別番組の続編が放送される。NHKとも良好関係を築いたまま、フリーとして、今後も出演機会がありそうだ。

 政界に転身したとしても、選挙の洗礼に加え、60歳でも〝1年生議員〟となるため、肩身の狭い思いを強いられる。政治記者として、長く永田町の世界にいたからこそ、うまみは少ないのはよく分かっていたとも。名より〝大きすぎる実〟を取ったともいえる。