昨年、逝去したギタリストの安田裕美氏を偲ぶ「安田裕美の会」が4日、都内で行われた。

 安田さんは六文銭の初期メンバーとして井上陽水(当時のアンドレ・カンドレ)のデビューシングルのスタジオ演奏に参加。その後も小椋佳、布施明など多くのアーティストとセッションし、日本を代表するスタジオミュージシャンとして活躍。昨年7月6日に大腸がんのため72歳で死去した。

 この日は妻でシンガー・ソングライターの山崎ハコ(64)が、安田さんとの思い出を語りながら、「ごめん…」などを心を込めて歌い上げた。

 終了後には、山崎自身初となる囲み取材に応じた。「『ごめん…』という歌は普段でも泣きそうになるんですよね。死んだ人の身になって歌うので。きっと安田さんもこう思ってるかなぁ。(死んだ人が)生きてる方をすごく心配するのがかわいそうになってくるので『大丈夫よ』って言わないといけないから泣いちゃいけないと…」と涙ぐんだ。今日のステージも「行くから一緒に来てねって言いました。この先もずっとそう言うと思います」と安田さんの存在を近くに感じているという。

「毎日、頑張れって自分に言ってたんですよ。自分を励まさないと挫けそうで、光と支えがなくなってただの暗闇しかないんですよね」と最愛の夫を失った喪失感を語った。

 そんな悲しみから立ち直らせてくれたのも安田さんだった。「安田さんも逝くつもりもなかったし、ギター弾きたかった思うんですね。その思いのまま亡くなってるから、安田さんの情熱を私が引き継ぐと決心した。ということは歌わなけれないけない」と力強く語った。

「(囲み取材は)ないと思います。22年間ぐらいは1つの事務所で、そこでは一切、しゃべるなと(笑い)。本当の気持ちを私の言葉を言えるのうれしい。『本当は明るいんですね』ってガッカリされることもあるんですよ」とおしゃべりな一面ものぞかせていた。