映画監督の青山真也氏が2日、都内で行われた映画「東京オリンピック2017都営霞ヶ丘アパート」(8月13日から)の公開記念会見に出席した。

 同作品は東京五輪の開催に伴い、東京・国立競技場に隣接する都営霞ヶ丘アパートから立ち退きを余儀なくされた住民たちの姿を描いたドキュメンタリー。

 会見には、元住人の一人で映画の被写体にもなった菊池浩司さんも出席した。アパートには平均年齢65歳以上の高齢者が住み、体に障がいを持つ人もいた。

 自身もその一人で右腕がない菊池さんは「立ち退きの知らせが来たときは受け入れがたく、混乱した。五輪の開催に関しては、選手の方たちは応援したいと思うが、オリンピックを運営する組織についてはもう少し思いやりを持ってほしいと思う。開催の裏側で苦しんでいる人がたくさんいる。障がいがあるなどして容易に引っ越しができない住人に対して耳を傾けることなく立ち退きを強いられ、不信感しかない」と話した。

 今作が劇場作品初監督となった青山氏は「作品を通して五輪開催についてコメントすることは控えたいが、コロナ禍での開催という観点では自分は反対したい。まずは開催地である日本に住む方たちに映画を見てもらいたい。そして、どう思ったか、どう考えたかという感想を期待したい」と述べた。

 同映画は東京五輪開催日の23日に東京と京都で1週間限定で特別先行上映が行われる。