ミス・グランド・ジャパンのファイナリスト18人が27日、東京電力福島第一原発の事故による放射能汚染で立ち入りが原則禁じられている「帰還困難区域」を視察した。

 3・11の東日本大震災に伴う原発事故発生当時に設定された避難指示区域は、現在では最大時の3割ほどまで縮小されたが、残ったのは年間積算放射線量が50ミリシーベルトを超える「帰還困難区域」。現在も人口0人の双葉町のほか、南相馬市、大熊町、浪江町、富岡町、飯館村、葛尾村の一部が指定されたままで、原発事故以来、10年以上もバリケードで隔絶されてきた多くの人にとっては〝未知の世界〟だ。

 バスで中を走ると道路脇には除染による汚染土が入った黒い袋が無数に並び、主を失った民家には無数のツタが絡まる異様な光景が広がっていたが、大学院生の岸川佳世さん(25)は「実際の傷跡を目の当たりにして言葉を失いました。緑に囲まれた誰も住んでいない家を見て、寂しいというか、悲しいというか…」と衝撃を受けた様子。一方で「3・11に起こった事故の結果から目を背けてはいけない」と、原発事故を教訓にすべきだと話した。

 多くの人が目にしたことのない光景に戸惑いと動揺を隠せないファイナリストもいたが、今回の視察がミス・グランド・ジャパンを目指すうえで大きな糧になったようだ。