悪人だらけの異色ミュージカル出演・六角精児が“悪”を語る「道徳は破るためにある」

2021年06月25日 14時30分

“悪”についての考えを語った六角
“悪”についての考えを語った六角

 ドラマ「相棒」の鑑識役でブレークし、話題の映画、ドラマに多数出演している俳優・六角精児(59)。7~8月に東京、大阪、福岡で上演される「ミュージカル『衛生』~リズム&バキューム~」では、政治家役を熱演する。“悪者だらけ”で“汚い”というミュージカルで「絶対に賛否両論を呼ぶ」と語る問題作。そんな六角が“悪”の考えをぶちまけた。一方、本紙記者とギャンブル愛で「ずっとやっていきたい!」と意気投合し、鉄道愛も爆発させた。

 ――悪人だらけの異色ミュージカル。地元の悪い政治家を演じる

 六角 あまり政治家は演じたことがないので、楽しいですよ。何事もなかったように「人を殺せ」と指図する役ですから。悪への罪悪感のない人間ですよね。

 ――怖いですね

 六角 いまは道徳ばかりで生きてる世の中ですから。まったく逆のことをやっている人間がいたら、爽快だと思うんですよね。ミュージカルが悪ばかりで、どう成り立つのかをぜひ見てほしい。普通なら善と悪があって、初めて社会的に、芝居として成立するのに、善がほぼないですから。いろいろとスレスレの線を狙ってて僕も楽しみ。絶対、賛否両論呼ぶんですよ。見てられないって人もいっぱいいると思います。でも、それでいいですよ。そういうお芝居って、あまり作られてなかった。いや~な気持ちになって帰る人が3割いたとしても、構いませんから。

 ――六角さんの中で「悪」とは

 六角 これだけ世の中がいい人を求めている中で、悪というのはしびれる存在ですよね。僕は道徳は破るためにあると思ってましたから。中学生のころ、先生から「危険思想」だと言われましたよ。善をやってもあまり新聞には載らないけど、ちょっとした悪でも新聞に載るでしょ。取り上げられるってことは、マイノリティーなんですよ。僕は悪というマイノリティーが大好きです。

 ――悪行とは…

 六角 いくつかありますけどね。彼女から金を借りて返さないで別れたりね。犯罪と悪はイコールじゃないですよ。だけど、この人はなぜ犯罪を起こしてしまったのだろうと、心理描写をひもとくのは大好きです。大きな事件があったときは、それに関連する本を読みますね。犯罪を犯した人に興味があるってことは、どこか自分の中に「悪」というものへの興味があるんでしょうね。

 ――いまの悪は?

 六角 悪というニュアンスが変わったというか、認められなくなったでしょ。朝青龍さんが好き放題やってたりしたじゃないですか。相撲取る人は強いことが大切なのに、なぜそんな道徳的なことばかりを求められるんだろうと思いましたもん。

 ――芸人さんの不倫にもうるさいですもんね  

 六角 それ、マスコミが書いてるでしょ。芸人さんだって、道徳的なことしか言わなくなってきたでしょ。やってることが常軌を逸してたり、あまりよくなかったりする姿を、見る人はどこか自分にはないところを求めている部分もあるじゃないですか。今じゃちょっと面白い普通の人を見ているようなもんじゃないですか。世の中がよくなるって、こういうことなのかなって。不思議に思いますけどね。

 ――俳優もちょっとしたことでバッシングが

 六角 いや、だってさ。普通の人だったら起こらない。全部が全部さ、“有名税”ってひと言でくくられて。どれだけ税金払わなきゃいけないの。東出(昌大)くんなんかさ、税金どころの話じゃないじゃないの。

 ――ギャンブルも、悪ですかね。六角さんも、僕も好きなんですが

 六角 僕はボートレースとパチンコ。悪ではないんじゃないですか? 依存症になって人に迷惑をかけるまでになれば、悪かもしれないけど。だって、ギャンブルをすること自体は幸福追求権の一つなんじゃないかな。人間の権利でしょ。

 ――コロナ禍で世間の目もある

 六角 行ってないですけど、ボートは買えますからね(笑い)。でも、パチンコは行きたくても、行けない。忙しくて時間がないってのもあるんですけど。ただ、やっぱりギャンブルは一生ずっとやりたいですね。これは楽しいですね。

 ――いまの欲は

 六角 いまはコロナ禍なんで、コロナ禍が明けたらいっぱい好きな鉄道に乗って旅行に行きたい。いまは乗りに行けないじゃないですか。一回行った場所でも季節、天候が違えば、見える世界が違うんですよ!

 ☆ろっかく・せいじ 1962年6月24日生まれ、兵庫県出身。82年に劇団「善人会議」(現・扉座)の旗揚げに参加し、看板俳優の一人として活躍。ドラマ「相棒」シリーズの鑑識役で人気となり、多数のドラマ、映画に出演。現在、映画「すばらしき世界」、ドラマ「華麗なる一族」(WOWOW)、ミュージカル「レ・ミゼラブル」に出演している。

 ☆古田新太と尾上右近のダブル主演ミュージカル「衛生」。昭和の排せつ物を肥料として扱う業者一家の殺人もいとわない悪行ざんまいを、音楽に乗せて描く“欲望と狂気と笑い”の異色作。六角は業者の後ろ盾となる地元の政治家・長沼ハゼ一を演じる。東京(7月9~25日=TBS赤坂ACTシアター)、大阪(7月30日~8月1日=オリックス劇場)、福岡(8月9~11日=久留米シティプラザ)にて上演。

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