東京五輪・パラリンピックの各国選手団が生活する選手村(中央区晴海)が20日、報道陣向けに公開された。

 交流エリア「ビレッジプラザ」の公開後、取材に応じた大会組織委員会の北島隆ビレッジゼネラルマネジャーは選手村で配布する約16万個のコンドームに言及。厳しい新型コロナウイルス感染対策が求められる中、濃厚接触を助長するような配布行為が疑問視されているが、改めて「我々のコンドーム配布の考え方としては…」と前置きした上で「HIV、エイズはアスリートをはじめ、世界の若者の未来を奪うような病気。我々としてはそれに対してきちんと対応していくべき。HIVやエイズなどの感染症は差別や貧困にもつながる」と説明した。

 選手村でのコンドーム配布は国際オリンピック委員会(IOC)の主導で1988年ソウル大会からHIV、エイズ撲滅の啓発活動の一環として実施。04年には国連も連動し取り組んできた経緯がある。北島氏は「あくまでも選手村で使うものではない」と強調しつつ、五輪期間中に配布する意義として「アスリートの方々は母国での発信力があるんですね。そういった方々がきちんと母国に持ち帰った上で啓発をしていただく。そういったことが非常に重要な取り組み」との考えを示した。

 この指針は本紙既報だが、それでも国内外では「選手村で使う人はいるはず」「ルールはあってないようなもの」との批判が噴出している。これについて北島氏は「今ここで止めるべきではなく、引き続き継続してやっていくことが非常に重要であるという話をIOCから頂いている」と話した上で「ただし東京大会では選手に(配布行為の)趣旨や目的をしっかり伝えていきたいと思っておりますので、今回は帰国の手続きの際に各国選手団向けに配布し、母国に持ち帰っていただいて協力していただく。そういう仕組みで配布していくことで目的、趣旨をしっかり伝えていくことに重点を置いた取り組みをしていきたい」と語った。