国会議員のワクチン優先接種を巡る議論が、ぶり返した。萩生田光一文科相(57)が1日、東京五輪・パラリンピックを前に「外国のお客様との会談などが予定されており、可能ならその前に接種したい」などと優先的な接種を希望し、また物議を醸している。

 国会議員のワクチン優先接種は先月25日、自民党の佐藤勉総務会長が「大事な議論をしている国会議員が誰も打っていないこと自体、危機管理上おかしいのではないか」と訴え、ネット上では「上級国民か!」と批判を浴びた。野党側も「エッセンシャルワーカーへの接種を優先するべき」などと否定的な反応を示し、自民党の二階俊博幹事長が「自然な形で対応するのがよい」と発言したことで、議論は終息していた。

 ところが、萩生田氏が「何となく国会議員が萎縮している。責任ある立場の人は堂々と」と国会議員の中でも閣僚や五輪に関係する議員に絞る形で、再び優先接種を訴えた格好に。とりわけツッコミが入ったのは、萩生田氏の言い回しや自ら接種を希望したことだ。

 立憲民主党の小西洋之参院議員(49)はツイッターで「閣僚や国会の委員長など、国民から国政を負託された要人が先行して接種することはあり得ると思う」としたうえで、「しかし、『堂々と接種を』という言葉は、救えるはずの国民の命を救ってから使うべきものだと思う」と投稿した。

 菅内閣ではワクチン接種について、海外出張が必要な際は別枠としており、4月に訪米した菅義偉首相は接種を済ませている。また参院議員で五輪組織委員会の橋本聖子会長(56)は「まだ年齢に達していないので、考えていない」と話しているが、組織委側は選手や大会関係者向けの接種対象になる可能性を示唆している。

 自民党関係者は「橋本氏のように周りから望まれる形なら理解も得られるが、萩生田氏は自ら『打ちたい』と言ってしまっては、エゴ丸出しで批判を招くだけ。おとなしくしていればよかったのに…」と冷たい視線を送った。