東京五輪・パラリンピック組織委員会が26日に理事会を開催し、議論の中で中止や再延期を訴える声も出た。

 組織委員会の理事を務める日本サッカー協会の田嶋幸三会長(63)が会議後にオンラインで取材に応じ、議論の内容を明かした。

「議論の中には延期という選択肢があるのかとか、中止という言葉が出た人もいた。それに対してしっかりと議論した」と田嶋会長。「そのうえで組織委員会は、五輪をしっかり運営することが最大の責務。まずはそれを中心にして、延期という可能性はほとんどないという説明が行われた」と開催を前提としつつも幅広い意見が交わされた。

「感染予防について、かなり突っ込んだ議論が行われた」というが、会議では感染対策のうえで不安点も数多く指摘された。

「性善説に立って、選手たち、関係者がしっかり守るということにはなっているが、大会を終えた選手たちがハメを外してしまうのではないかとかいろんな危惧もあった」と大会終了後の選手などの〝バブル破り〟も議題に。「選手村にいる限りはそれをしっかりとコントロールできる。逆にそういう選手たちに対して、プログラムで買い物をできるとか何かできないかとか非常にポジティブな意見が出ていた」と選手たちの気分転換のために大会組織委員会がプロデュースする〝ショッピング計画〟も浮上したという。

 また「メディアの方が守らないんじゃないかという意見もあった。ホテルに泊まっている人たちをどうコントロールするのかとか議論になった」と世界中から大挙押し寄せる報道陣をどう管理するかも懸念材料の一つに挙がった。

 新型コロナ禍の深刻化により国内外から中止を求める声が高まっている現状も会議では共有されたようで「世論の支持が高くないということ」と田嶋会長。そうした現状を踏まえて「新しく入られた理事から『もうちょっと広報をしっかりされたら応援してくる人が増えるのでは』という話もあり、橋本会長の発信をもっとしたほうがいいと。そのほうが一般の人たちも落ち着くのではという意見だった」と組織委員会の橋本会長を始めとして国民への説明や発信の機会を増やす方針だ。

 開催を前提としつつも中止や再延期論も飛び出した理事会。東京五輪の開催はまだまだ予断を許さない状況が続きそうだ。