仮面女子・猪狩ともかが国を提訴「私のように突然の事故で命や体の自由を奪われる人がいなくなるように」

2021年05月11日 09時50分

仮面女子・猪狩ともか
仮面女子・猪狩ともか

 2018年4月11日、強風で倒れた看板の下敷きになり脊髄を損傷。車いすで活動するアイドルグループ「仮面女子」の猪狩ともか(29)が11日未明に自身のユーチューブチャンネルで動画を公開。「安全対策を怠った」として国(文化庁)に1000万円の損害賠償を求める訴訟を起こした理由を語った。

 猪狩は「私は3年前の春に強風で倒れてきた看板の下敷きになったことにより、脊髄を損傷し車いす生活となりました」と経緯を説明。「看板が長年管理されず、根本が腐っていたことが原因で起こった事故。逆に言えば看板の管理をしっかりしてくれていたら、この事故は起きていなかったと思います」として責任者である(設置した)国への提訴に至ったと話した。

 事故直後について「一番最初に足の感覚がなくなっていることを聞いた時は、普通のケガと同じように時間がたてば治るものだと思っていました。ですが、時間がたつにつれて骨折していることにも気付かない、触れられていることも分からない、熱さや冷たさを感じることもできなくなっていることを徐々に理解していきました。自分の脚が自分の脚じゃなくなったかのように思えました」と振り返る。そして「事故に遭う前とは違う体になってしまったんだということを実感したとき、仮面女子としての活動はどうなるんだ? もし戻れたとしても、こんな私を必要としてもらえるのかと不安でいっぱいでした」と当時の心境を明かした。

 家族、友人、メンバー、ファンら周囲の支えによってステージに復帰。「現在はすてきな出会いや環境に恵まれて、脚が動かなくてもやりたいと思えることや、やりがいを感じることがたくさんありますが、当時はそんなことを想像する余裕もありませんでした」と話す。これまで、何事にもポジティブ志向で発言してきた猪狩は「車いす生活になったからこそ、新しい道が開けたのは確かですが、五体満足のままでいられるのなら、そうありたかったです」と無念の胸中を明かした。

 猪狩は「今回、私が声をあげることによって、今後、公の建物や看板の管理が行き届き、私のように突然の事故で命や体の自由を奪われる人がいなくなるように思い、提訴しました」と提訴により悲劇が繰り返されなくなることを熱望。最後は「自分の人生一変させるような事故は、ある日突然やってくるかもしれません。皆さんには、そんな時に後悔しないように毎日を大切に過ごしてほしいです」と呼びかけた。

 猪狩は湯島聖堂(東京都文京区)の近くを歩いていたところ、強風にあおられた案内板の下敷きになった。湯島聖堂を管理する財団法人とは和解が成立。案内板は国が設置し、同財団に管理を委託していた。

 事故から約4か月後の18年8月26日、車いすに乗りステージに復帰。その後は「みなさんに元気と勇気を届けたい」とアイドル活動のほか、女優業、執筆、講演など多岐に活動。昨年2月、「ケガをしてやりたいことが明確になった」とグループからの卒業を発表したが、コロナ禍でライブができないこともあり卒業を延期している。6月2日に発売する同グループ初のアルバム「MASK A RAID(マスカレイド)」には自身が作詞した「ファンファーレ☆」が収録される。

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