警察による黒人への暴力やアジア人差別が大きな社会問題化している米国で25日夜、第93回アカデミー賞発表・授賞式が行われ、主要部門を白人、黒人、アジア人が程よく分け合うという〝分かりやすい結果〟となった。だが、視聴率は過去最低だった昨年をさらに大きく下回り、主催者にとって〝大惨事〟となった。

 米調査会社ニールセンによると、米ABCがゴールデンタイムに生中継した同授賞式の平均視聴者数は、昨年の約2360万人より1375万人少ない約985万人だった。

 また、コア層(18~49歳)の視聴率は1・9%で、これも過去最低を記録した昨年の5・3%から大きく落ち込んだ。

 米FOXニュースは、アカデミー賞授賞式の視聴率は近年下降傾向が続いてきたが、昨年からのコロナ禍が同番組を含め、映画業界全体に致命的な打撃を与えたと指摘。

 コロナ禍終息後のハリウッドは急変貌するとし、米メディアグループ大手ワーナーメディアのジェイソン・キラーCEO(最高経営責任者)が同社映画のストリーミング配信を決定した際の「われわれはもはや安住の地にはいない」とする発言を引用した。

 一方、同日の授賞式では中国・北京出身の女性監督クロエ・ジャオ(39)が米国の車上生活者たちを描いた「ノマドランド」でアジア人女性とした初めて監督賞を獲得。同作は作品賞も受賞した。

 主演男優賞は「ファーザー」で〝認知症の父〟を演じたアンソニー・ホプキンス(83)、主演女優賞には「ノマドランド」のフランシス・マクドーマンド(63)がそれぞれ輝いた。

 助演男優賞は「ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア」で黒人活動家を熱演したダニエル・カルーヤ(32)、助演女優賞には米国の韓国人移民一家を描いた「ミナリ」で祖母役を演じた韓国人女優ユン・ヨジョン(73)が獲得した。