米プロバスケットボールNBAで〝キング〟と呼ばれるレイカーズのスーパースター、レブロン・ジェームズ(36)が警察への暴力をあおるようなツイートをしたとして物議を醸している。

 レブロンは米中西部・オハイオ州コロンバスで20日、16歳の黒人少女マキア・ブライアントさんに発砲し、死亡させた白人警官の写真をツイッターに投稿。「次はお前だ」とのメッセージを添えたのだ。

 同じ米中西部のミネソタ州ミネアポリスでは昨年、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に暴行され死亡する事件が発生。「BLM(黒人の命も大切)運動」のきっかけとなったこの事件は20日、殺人などの容疑に問われた元警官に対する裁判で陪審が有罪評決を出した。

 その評決とほぼ同時刻にマキアさんの事件が起きたことから、レブロンは発砲した警官も同じ道をたどるとツイッターで示唆したのだ。

 だが、今回はフロイド事件とはかなり事情が違っていたようだ。

 コロンバスの警察当局が公開した事件の一部始終を録画した警官のボディーカメラによる映像には、現場に駆け付けた警官が若い黒人女性に暴行するマキアさんに向かい、何度も「やめろ!」と警告する様子が記録されていた。

 映像はその直後、マキアさんが包丁のような刃物を握り、別の若い黒人女性に突進して襲いかかったことで、警官が銃を取り出し、数メートルの距離から4発撃った瞬間もとらえていた。

 弾は命中し、倒れたマキアさんを取り囲む数人の警官の姿も録画されていた。

 米NBC系列「シカゴ5」ニュースによると、マキアさんは病院に搬送され死亡が確認された。また、コロンバス市長はマキアさんの死を悼む一方、警察による銃使用は正当だったとしている。

 そんな中、レブロンがこの事件をフロイド事件と同一化し、警察への暴力をあおっているとして全米最大の警察官共済組合「ナショナル・フラターナル・オーダー・オブ・ポリス」が問題視した。

 同組合はレブロンのツイートを「不名誉で非常に軽率」だと批判。「警官は若い女性の命を救った。どんなデマを流そうとも事実は変わらない」と訴えた。

 また、米共和党のトム・コットン上院議員も「レブロン・ジェームズはオハイオ州の警察官への暴力をたきつけている。恥ずべき行為で危険だ」とツイートした。

 レブロンはすでに問題のツイートを削除している。