菅義偉首相(72)が新型コロナウイルスの感染防止をめぐる〝ワクチン外交〟に失敗し、政権運営に赤信号が点滅している。

 菅首相は訪米中、米製薬大手ファイザー社のブーラ最高経営責任者(CEO)と電話協議。その結果、16歳以上の国民接種対象者1億1000万人分のワクチンを9月末までに同社から「追加調達できるめどが立った」と成果をアピールした。

 ところが20日の参院厚労委員会で野党議員に「これでめどが立ったというのは、完全にごまかしだ」と暴露されてしまったのだ。

 田村憲久厚労相(56)は、同委員会で立憲民主党の石橋通宏参院議員(55)からワクチン供給問題を質問された際「(同社と)合意書を交わしたわけではない。中身の詳細についてはつぶさに申し上げられない」と、正式な契約に至っていないことを認めた。

「ファイザー社のプーラ氏は、自身のツイッターで菅首相との電話協議は認めましたが、ワクチン供給を約束したことを否定しています。政府が正確な情報を国民に発信しないと混乱が生じます」(野党関係者)

 この失態に対し、ネット民からは「酷いプロパガンダ。国民、世界から信用をなくしますよ」「真剣に国民を守ろうとしていない」と怒りの書き込みがされるなか、自民党内からも批判の声が上がっている。

「菅首相はバイデン大統領側に根回しをせず訪米していた。バイデン氏の鶴の一声があれば、同社から9月にワクチンが供給できた可能性があります。安倍前首相はトランプ氏が大統領選に当選した直後に側近の議員を派遣してパイプを作っていた。菅首相が派閥に属さない弊害が出ている」(自民党関係者)


 身内から〝外交音痴〟ぶりを指摘された菅首相はこの難局を乗り越えられるのか。