“おまいう案件”韓国の処理水放出批判の背景に苦しい3つの理由

2021年04月15日 11時15分

 韓国の文在寅大統領は14日、日本政府が決めた東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を差し止めるため、ドイツ・ハンブルクにある国際海洋法裁判所に提訴することを積極的に検討せよと政府に指示。同日、相星孝一駐韓大使と面会した場では「地理的に最も近く、海を共有する韓国は非常に強く憂慮している」と伝えたという。この韓国の態度について、専門家が分析した。

 韓国では処理水の放出に対する反対が根強く、文大統領の姿勢は世論を反映した形だ。関係悪化が続く中、海洋放出問題が日韓間の新たな重要懸案に浮上した。

 加藤勝信官房長官は14日の記者会見で、文氏の提訴検討指示について「韓国を含む国際社会に丁寧に説明し、理解醸成を図る」と述べた。

 文大統領は放出を阻止するため国際海洋法裁に「仮処分」を求めることの検討も指示した。相星氏とは、大使の信任状を受け取るために面会。相星氏には「韓国政府と国民の憂慮をよく分かっているだろうから、本国にきちんと伝えてほしい」とも述べた。韓国政府は、処理水は放射性物質トリチウムが除去されていないことから「汚染水」と呼び、放出に反対してきた。

 韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏はこう語る。

「韓国は、東京五輪についてさんざん“放射能五輪”という言葉で揶揄し、防護服を着た聖火ランナーを描いた悪質なパロディーポスターを作って嫌がらせをしてきましたが、自国経済がいよいよ立ち行かなくなると、『東京五輪成功のために協力を惜しまない』などと日本にすり寄り、日韓中首脳会談を打診してきました。そして今度は、その舌の根も乾かぬうちに、日本の処理水放出にかこつけて日本批判を再開したようです」

 今回の批判の背景には大きく考えて3つ理由が考えられるという。

「まず、先日の北朝鮮の五輪不参加宣言です。南北選手団合同入場など、南北融和ムードを演出したかった文大統領にとって、これは痛かった。北が参加しない以上、野党や一部国民の批判にさらされるリスクを負ってまで、東京五輪への協力を申し出るメリットがないという考えです」と但馬氏。

 2つ目は、つれない態度を取り続ける日本へのあてつけと懇願だという。

「おそらく“五輪協力”をアメに、“放射能五輪キャンペーン”をムチに、日本をどうにか振り向かせようという浅はかな作戦なのでしょう」(同)

 3番目は、お決まりの“困った時の反日”だ。

 但馬氏は「ソウル、釜山両知事選挙は与党候補の惨敗に終わりました。文大統領の求心力はますます小さくなり、それは退任後の進退にも大きく影響します。ここで、一気に反日にかじを切って、支持率低下を食い止めたいのだと思います。韓国は今後、日本を直接非難するだけでなく、国際社会に向かって、東京五輪=放射能五輪を喧伝するでしょう」と指摘する。

 一方、日本は、韓国の原発からもトリチウムが排出されていると反論。在韓国日本大使館はホームページで、原発運営会社「韓国水力原子力(韓水原)」の資料を基に、2018年には計360兆ベクレルのトリチウムが放出され、これは福島第1原発の貯蓄量を2~3年で排出する計算になると説明している。但馬氏は「実際、ソウル市と福島市の空中の線量はほとんど変わりありません。おそらく、まともな科学者が今回の韓国の批判を聞いたら、『おまいう(お前が言うな)』ということになるでしょうね」と話している。

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