「ヤングケアラー」についての厚生労働省と文部科学省の初の実態調査で、中学生の約17人に1人が、世話をする家族がいると回答した結果を受け、田村憲久厚労相は13日、閣議後記者会見で「(両省の)副大臣の下でプロジェクトチームをつくっている。今後の支援策や論点を整理し、しっかりと対応したい」と述べた。

 ヤングケアラーとは、大人が担うような家事や、親の代わりに幼い弟妹の世話をしたり、障害や病気のある家族の介護を日常的に行う18歳未満の子供のこと。

 厚労省と文科省が実態調査を行ったところ、中学生の17人に1人、高校生の24人に1人がヤングケアラーであることが判明。学業や進路への影響だけでなく、同世代からの孤立を招くと指摘される一方、生徒全体の8割が「ヤングケアラーという言葉を聞いたことがない」と回答しているように、あまり認知されていないのが実情だ。

 家族のケアをしながら大学に進学し、日本テレビのアナウンサーになった、現フリーアナの町亞聖さん(49)もヤングケアラー経験者だ。町さんは「『自分がやるしかない』『相談できる相手がいない』など調査では切実な声が明らかになりましたが、30年前の私も全く同じ状況でした。重度障害者になった母の介護に家事、弟妹の母親代わりをしていましたが、学校の先生にも同級生にも相談できませんでした。介護は家族がして当然の時代で、周囲に『助けて』とSOSを発信する方法さえも分かりませんでした」と語る。

 町さんは「十八歳からの十年介護」などの著書を持ち、医療と介護を生涯のテーマに取材、啓発活動を行っている。

「ヤングケアラーが担っているケアは高齢者介護とは限りませんので、より幅広い視野からの支援が必要です。『介護を理由に人生を諦めたくない』。10代の私が強く願ったことです。ヤングケアラーのみんなには頼れる大人を一人でもいいので見つけてほしいと思います」と指摘している。