“コロナ予言作家” 高嶋哲夫氏が提言「日本のデタラメ防災を信じるな」

2021年04月04日 06時15分

乱雑とした仕事部屋で穏やかな表情を見せる高嶋氏

 小説家・高嶋哲夫氏(71)は映画「ミッドナイト・イーグル」やTBSドラマ「都庁爆破!」の原作者として知られる。また「首都感染」「首都崩壊」「福島第二原発の奇跡」など多くの自然災害に関連した小説を世に放ち、2月には岡山への首都移転をつづった新著「首都岡山―新しい日本の形―」を上梓した。そんな高嶋氏が、来たるべき巨大災害に警鐘を鳴らすとともに災害に向き合う心がけを説いた。 


【小説家・高嶋哲夫氏インタビュー(前編)】

 ――慶応大学卒業後、日本原子力研究所(原研)の研究員だった人が、なぜ小説家に

 高嶋 核融合プラズマをやってましてね。分かる? 地上に太陽を作ろうみたいな試みでね。原研に入って全部研修も受けて、米国のUCLAにも行ったんだけど、そこで落ちこぼれちゃった(笑い)。当時はまわりに作家志望の人が何人かいてね。日本人がいないから読まされてたんですけど、小説家っていいなって。日本に帰ってきて、神戸で塾をやりながら書いてたんです。

 ――原子力だけではなく、いろんなジャンルの作品を発表

 高嶋 そもそも作家になろうなんて思ってなかったから〝核〟がないだけですよ。本も全然読んでないしね。小説に関しては、この10年で10冊も読んでないと思う。人には読めって言われるけど興味もないし(笑い)。でも、映画は勉強として見てますよ。

 ――「首都感染」が〝予言の書〟として話題になった

 高嶋 だいたい起こることが分かるんですよ。でも、みんなだって分かってるはずですよ。南海トラフにしたってワンパターンだし、どうなるか分かる。

 ――南海トラフ地震は30年以内に70~80%の確率で発生するといわれる

 高嶋 国が言ってるように南海トラフの地震が近いうちに高確率で起きるのは間違いない。首都直下型地震も同様に近いうちに必ず起きる。これは歴史を見れば明らかなことです。

 ――だが、大地震への備えは不十分との声もある

 高嶋 3・11以降の対策もデタラメだからね。次に東北にM9クラスの地震が来るのは1000年後。早くても600年後。コンクリートの寿命なんてせいぜい100~200年なんですよ。今からそんなでかい堤防作ったり高台に移転したって、1000年たてばみんな忘れてるし、堤防もボロボロになってる。1000年後の心配なんていらないんですよ。いま生きてる人が幸せに戻れればいい。阪神淡路大震災で災害ってこういうものだと分かったはずなのに、東日本大震災の後も全く同じことを繰り返してる。コロナの対策もそうだけど、本当に知恵がない。

 ――我々はどう備えればいい

 高嶋 災害を知ることです。災害は筋書きのないドラマ。何が起こるか分からないということを心に決めておいて、まず自分が生きるということを中心に考えて行動してほしい。阪神淡路大震災の時には、最初の10~20分くらいで8割近い人が家屋の下敷きになったりして亡くなってる。だから、僕は食料の備蓄のような防災グッズはいろいろあるけど、必要ないと思っている。今の日本だったら1、2日我慢すれば、支援物資もワァーっと来るし。防災グッズに使うお金は家の補強に使う方がいい。家具の転倒防止を1個付けるでもいい。とにかく自分が生き延びること。そして、最初の72間は人助けに費やしてほしい。


 ☆たかしま・てつお 1949年7月7日生まれ。岡山県玉野市出身。慶應義塾大学工学部卒。同大学院修士課程修了。日本原子力研究所研究員を経て、米カリフォルニア大ロサンゼルス校に留学。81年に帰国し、学習塾を経営するかたわら執筆業を開始。「メルトダウン」(94年)で第1回小説現代推理新人賞、「イントゥルーダー」(99年)で第16回サントリーミステリー大賞など、受賞多数。2010年発表の「首都感染」がコロナ禍の現状と酷似しているとして〝予言の書〟と話題になった。

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