小池都知事が〝時短営業訴訟〟で凡ミス! 弁護士も絶句した「余計なひと言」

2021年03月23日 11時30分

〝フリップ芸〟はお見事だが…

 女帝らしからぬミスなのか。「モンスーンカフェ」「権八」などを展開する外食大手の「グローバルダイニング」が東京都を提訴した件で、都側の“弱み”が浮かび上がった。同社はかねて明らかにしていた通り、新型コロナウイルス対応の特措法に基づいて都が同社の26店舗に行った時短営業命令が違憲・違法だとして22日、東京地裁に損害賠償請求の訴訟を起こした。法廷闘争の行方について、識者は小池百合子都知事の名前で出された命令書に書かれた“本心”が裁判のカギを握ると指摘した。

 東京都は18日に同社の26店舗に対し、21日まで午後8時以降の営業停止を命令。同社はそれまで時短営業の要請には応じてこなかった。

 同社サイドは時短命令について「飲食店が主な感染経路である明確な根拠もなく、営業を一律に制限することは、営業の自由などに反する」と主張している。提訴の目的は損害賠償よりも問題提起の意味合いが強いとして、請求額は104円となった。これは26店舗で4日間営業時間を短縮したことから、1店舗につき1日1円で計算したという。

 この時短命令には批判があった。午後8時までの時短営業をしない飲食店が約2000店あるのにもかかわらず、同社が集中的に狙われたことに“見せしめ”との指摘もあった。また、18日といえば緊急事態宣言が21日に解除されると決まった日。駆け込みのような時短命令はなおさら“見せしめ”の印象を高めていた。

 時短命令をめぐる提訴は初めてのこと。ポイントはどこにあるのか。元衆院議員で弁護士の横粂勝仁氏は「こうした行政訴訟は原告側にはハードルが高いと言われています。今回の提訴は特措法が違憲かどうかと、特措法の運用、つまり時短命令が違憲もしくは違法かどうかという2つがあります」と指摘した。

 前者の特措法が違憲かという点については勝ち目が薄いという。「特措法の改正の過程で、国会でも個人の権利や営業の自由を制限することについて議論があり、政治より国民が『もっと厳しく』と求めたところもありました。それを考えると法律そのものが違憲というのは認められにくい」(横粂氏)

 争点は特措法の運用が適切に行われたかどうかに絞られそうだ。この点で横粂氏が驚くのが東京都が同社に送った命令書にあった文言だ。

 同社はかねて緊急事態宣言中でも平常通りの営業を行うと公言していた。長谷川耕造社長のフェイスブックでは今年1月5日に「20時までの営業では事業の維持、雇用の維持は無理です」というように理由が説明されている。

 そして今月18日に小池氏の名前で命令書が届いたことを長谷川氏が報告。命令書には「緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店の20時以降の営業継続を誘発するおそれがある」と書いてあったのだ。長谷川氏は「都知事側に都合の悪い内容を発信したことに対する懲罰を課す(原文ママ)という事と思います」と“見せしめ”だとフェイスブックにつづっていた。

 横粂氏も「法的には余計な文言と言わざるを得ません。目を疑いました。命令を出した理由が『発信』にあるという“本心”が、こうした文書に残っていることで、命令が不当な法律の運用だったと裁判所に認定されることにもなりかねません」と指摘。

 続けて、「余計なことを書かずに、粛々と命令をしていれば、見せしめと言われても『恣意的じゃない』と言えた。法の運用を知らない人が感情的に文書を作ってしまったのか」と、この文言が東京都と小池氏の命取りになりかねないと横粂氏は言う。

 女帝と呼ばれ、都庁に君臨する小池氏だが凡ミスだったのか。横粂氏は「それでも原告にとってハードルの高い裁判ですが、法の運用がおかしいとなれば小池氏の政治責任となるでしょう」と解説した。

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