元妻で米女優のアンバー・ハード(34)への家庭内暴力(DV)を報じた英紙サンを名誉棄損で訴えたが、敗訴した米俳優ジョニー・デップ(57)が、裁判やり直しを求めた上訴審がロンドンの控訴院で18日(日本時間19日)開かれた。

 昨年11月のロンドン高等院判決は、デップによる度重なる暴力行為でアンバーが命の危険にさらされたとし、サン紙の報道が「おおよそ事実」だと認定。デップの訴えを退けた。

 これに対してデップの弁護団は18日、一審判決はアンバーの証言のうのみにした〝不公平な判決〟だと主張。

 裁判官がアンバーの証言を信じた背景について同弁護側は、離婚でデップから受け取った和解金700万ドル(約7億6200万円)全額を慈善団体に寄付すると寛大さをアピールしたアンバーの証言が、「人間としての心証を限りなく良くしたからだ」と説明。

 ところが、アンバーが実際に寄付したのは約10万ドル(約1080万)に過ぎないとした上で、〝計算ずくのウソ〟で塗り固めた元妻の証言をもとにした判決は不当だと訴えた。

 この主張に対しアンバー側は、和解金全額を寄付していないことを認めつつ、「実現していないのはデップ側がアンバーを提訴したからだ」と反論した。

 デップは米国・バージニア州で2019年3月、米紙ワシントン・ポストにDV被害者として寄稿したアンバーを相手取り、5000万ドル(約54億4000万円)の名誉棄損訴訟を起こした。裁判開始はコロナ禍の影響で延期を繰り返し、今のところ来年4月以降とされている。

 アンバー側は裁判に備える資金が必要になったため現在は寄付ができていない状態だとしている。

 一方、ロンドンでサン紙を相手取った控訴審について控訴院は18日の審理で、裁判をやり直すかどうかについての決定は近く言い渡すと原告側に伝えた。