芸能人の〝退所ラッシュ〟だ。大手芸能プロダクションのアミューズが16日、所属する俳優・佐藤健(31)、神木隆之介(27)と、ロックバンド「ONE OK ROCK」が3月末で独立すると発表した。ただ同事務所でマネジメントを担当していた社員が移籍するなどして、協力関係は続ける。最近、長く在籍してきた事務所から離れる例が相次ぐが、今回の〝独立劇〟は2019年、公正取引委員会がジャニーズ事務所に対して「注意」した影響もあると見られている。

 アミューズと言えばサザンオールスターズをはじめ福山雅治、星野源などの超売れっ子アーティスト、吉高由里子、仲里依紗、上野樹里などの人気女優、三宅裕司、小倉久寛といった喜劇俳優、そのうえPerfumeやBABYMETALなどの女性アーティストなど、幅広いタレントが所属しているのが特徴だ。

 さらに昨年、亡くなった三浦春馬さんなど、若手の人気男優が数多く所属していることでも知られている。その中には昨年1~3月に放送され、話題となったTBS系の連続ドラマ「恋はつづくよどこまでも」に出演した佐藤や、昨年デビュー25周年を迎えた神木もいた。

 その2人に加えて、「ONE OK ROCK」も3月末で独立し、4月から別会社で活動するとなると穏やかではない。一部の報道によると、俳優部門を担当してきた取締役が今月31日付で辞任することに伴い、佐藤と神木も退社して行動をともにすることを決断したとされている。

 芸能プロからの独立となると、「ヘタをすると干されてしまうかも」と勘繰るムキもある。最近では、お笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次が、吉本興業と結んでいた専属エージェント契約を3月末で解消することが発表された。これにより「加藤は、吉本に〝粛清〟されるのでは?」と騒がれたのは記憶に新しい。

 そうした中で佐藤など、人気俳優が大手芸能プロであるアミューズから独立するため、ネットなどで「こちらも〝粛清〟されるか」といった声が上がっている。ただ今回の独立劇について芸能関係者の間では「アミューズが上場企業であることが大きい」と指摘されている。

 実は芸能プロダクションで、上場している企業はほとんどないという。

「ジャニーズ事務所やオスカープロモーション、バーニングにワタナベエンターテインメントといった大手は上場してないですね。かつては吉本興業やホリプロが上場していたが、いずれも上場廃止している。現在、上場している芸能プロはアミューズとエイベックスくらいだけど、エイベックスの本業はレコード会社だし、純粋な芸能プロで上場しているのがアミューズくらいなのでは」(テレビ局関係者)

 そうした中で起きた今回の独立劇だが、これには2019年に、公正取引委員会が元SMAPメンバー3人の番組出演に関して〝圧力〟をかけた疑いで、ジャニーズ事務所を「注意」したことが影響しているとみられる。事実、独立といっても佐藤と神木の新会社にはアミューズも出資し、会長の大里洋吉氏が相談役として参加。ワンオクもチーフマネジャーが代表につくなど同社の〝関連会社〟に近い。

「アミューズのような上場企業にとって、〝圧力〟をかけたような疑いを持たれたら死活問題。今回の佐藤らの独立劇も、〝円満に関連会社に移っただけ〟としておかないと、公取委からどんな注意を受けるか分からない。まして『独立するから干す』なんて疑いをかけられたら、株主総会で批判を浴びる可能性もあるからね」(芸能プロ関係者)

 アミューズと言えば今年1月、本社機能を都内から山梨県の富士山麓に移すと「週刊文春」に報じられた。

「これにはテレワークを推進する意味もある。上場企業だけに、コロナ対策も万全だとアピールしたいとみられる」(同)

 ジャニーズに公取委が「注意」したことに、最も影響を受けたのは、上場しているアミューズだったのかもしれない!?