吉本興業は9日、お笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次(51)とのエージェント契約を3月31日付で終了すると発表した。加藤は今春、レギュラー番組2本が終了するとはいえ、現段階で朝の情報番組「スッキリ」(日本テレビ系)に打ち切りの予定はない。だからといって決して安泰ではない。もともとは吉本が取ってきた仕事で、現在はいわば「権力の空白」が生まれているのだ。この枠を狙って、他事務所が虎視眈々とチャンスをうかがっている。


 吉本は公式サイトで「加藤浩次 エージェント契約終了のご報告」というリリースを公開。

「タレント加藤浩次は当社とエージェント契約を締結したうえで芸能活動を行っておりましたが、双方の協議の結果、同契約の期間満了により、2021年3月31日(水)をもってエージェント契約を終了することになりましたのでご報告します」

 さらに「加藤浩次の新しい環境での活躍を応援してまいる所存です」としたうえで「ファンの皆様、関係各位におかれましては、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます」と記した。

 加藤は、2019年に勃発した闇営業騒動を巡って、吉本興業の経営陣を糾弾。同年7月に「スッキリ」で「今の社長、会長の体制が続くのだったら、僕は吉本興業を辞める!」と言い放ったのだ。吉本の大﨑洋会長と会談した上で、10月に専属マネジメント契約からエージェント契約に締結し直して活動していた。

 それから1年半が経っての退社に、芸能プロ関係者は「状況を考えると、遅すぎたという印象がある。それくらい加藤と吉本の上層部の関係は悪い。闇営業騒動の時と全く変わっていない。以前なら吉本の方から辞めさせただろうが、当時は〝ブラック企業〟と言われていたし、強気に出られない事情があった。それもすぐ辞めなかった一因でしょう」と指摘する。

 今春、加藤の周辺が騒がしい。改編でレギュラー番組の「スーパーサッカー」(TBS系)「この差って何ですか?」(TBS系)が終了することが決定。そしてエージェント契約の終了。となればいよいよ加藤の〝本丸〟の「スッキリ」の番組存続や降板が取り沙汰されるのも無理はない。そもそも吉本が取ってきた仕事であり、以前だったら降板というのが〝ルール〟だったからだ。

「さすがに今の時代に即降板というのはない。また今すぐ番組も打ち切りという話は出ていない。かつて同時間帯1位だった視聴率も現在はテレ朝の『モーニングショー』に抜かれた。ただ、CMに直結する若者やファミリー層に絞ったコア視聴率はまだ好調」(日テレ関係者)

 とはいえ、永続的にこの状況が続くと考えるのは、あまりにも短絡的だ。番組MC3人のうち、加藤は吉本から離れ、吉本とエージェント契約を結んでいるハリセンボン・近藤春菜は3月で降板。4月からは加藤と日テレの岩田絵里奈アナの2人体制となる。

「スッキリは〝吉本の番組〟というイメージだったが、完全にそうではなくなった。吉本は麒麟の川島明がMCを務める同じ枠の新番組『ラヴィット!』(TBS)に注力しており、スッキリは放置状態。このスキを突いて、ほかの芸能事務所が日テレに売り込みをかけている。特に熱心なのがジャニーズ事務所。その甲斐あって最近、所属アイドルの出演が急激に増えている」(芸能関係者)

 ジャニーズと日テレが蜜月関係なのは周知の通り。各番組にジャニーズのアイドルが出演しているが、スッキリは〝吉本枠〟だっただけに、なかなか進出は難しかった。しかし、加藤がいよいよ離れることになり、障壁はなくなった。「今後ますますジャニーズの出演は増えるでしょう。狙っているのはレギュラーの座であり、そう遠くないうちにサブMC、いずれジャニーズがメインの新番組となる可能性は十分にある」(別の日テレ関係者)

 加藤、スッキリの命運やいかに――。