岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の6府県で1日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除された。

 もともと7日までの期限だったが、6府県の感染状況など各種指標の改善を受けて前倒しで解除された形だ。飲食店への時短営業要請は解除せず、営業時間を1時間延長した上で継続し、感染再拡大を防ぐという。

 年末年始のピーク時に比べて感染者は著しく減少したが、大阪府では直近1週間で新規感染者数が100人を超える日もあるなど、いまだ感染再拡大への懸念は強い。6府県の解除をめぐっては、専門家でつくる政府分科会の尾身茂会長は「もろ手をあげて無条件で賛成ではなかった。強い懸念を示した人たちがかなりいた」と明かすなど、強い懸念を示していた。

 一方で解除見送りとなったのは東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県だ。いまだ新規感染者数が100人を超える日は多く、減少幅も鈍化。東京に至っては感染者数が急拡大し始めた昨年11月中旬のレベルから脱しておらず、同じ轍を踏めば解除からわずか1か月半後にはピーク時に逆戻りする可能性がある。

 再延長か、それとも解除か。菅義偉首相は2月26日に「感染拡大防止を徹底して行い、来月7日に全国で解除することが大事だ」と話して、7日の解除に向けた強い意志をうかがわせたが、尾身会長は全面解除について「両方の可能性がある」と、再延長の可能性も示唆している。

「もし、分科会の意見を無視して解除し、感染再拡大を招いて再々緊急事態宣言にでもなれば、すでに不満がたまっている国民が爆発して、東京五輪開催どころか菅政権は終焉だ。秋に総選挙を控えている状況から、ここでの判断ミスは自民党の命取りになりかねず、慎重な判断が求められる」(自民党関係者)

 今月は花見や歓送迎会などイベントが控えている。すでに自粛疲れしている国民の中には、自粛できずに飲み会を開く人たちも出てくるだろう。一方で経済を回すことが大事なのも事実。分水嶺に立たされている菅首相の判断は――。