ミャンマーで続く、クーデターを起こした国軍への抗議デモで20日、同国第2の都市マンダレーで2人が軍側の発砲で死亡(同国で計3人)するなど、情勢は緊迫化している。

 同国を巡っては外務省が21日、危険度をレベル2の「不要不急の渡航自粛」に引き上げ、3月25日に横浜で予定されていたサッカーW杯アジア2次予選のミャンマー戦が延期になるなど日本への影響も大きい。混乱の発端であるクーデターが起きた裏には、指揮役とみられるミン・アウン・フライン国軍総司令官(64)の個人的利権がチラついている。

 10年前まで約50年間、軍事政権が続いたミャンマーでは、軍閥と財閥が結び付き巨大利権組織になっている。「フライン司令官が強い影響力をもつと言われる経済団体の傘下に、通信や港湾インフラ、不動産関連や建設、天然資源といった産業がぶら下がり、軍の財源となってきたと考えられている」とは現地在住駐在員。

 その恩恵は子供たちにも。息子アウン・ピャー・ソン氏は医薬品業界を独占し、高級ホテルも有していると、香港で報じられた。そしてミャンマーの芸能界を牛耳るのが愛娘キン・ティリ・テット・モン女史(37)だ。

 2017年に映画会社を設立すると、地元有名スターとの独占契約を続々と結んだ。翌18年には、小規模なミャンマー映画界では超高額の3億チャット(約2200万円)を投じて製作した映画「モネ・スワル」を公開。この年のミャンマー・アカデミー賞を総ナメにした。

 モン女史は小柄の巨乳で、ショートボブの黒髪とはっきりした顔立ちが印象的な美人。ソン氏の妻らとともに芸能関連会社も立ち上げ、テレビドラマを制作している。さらに17年からは、国の代表を決めるミスコンの主催も。いずれも協賛スポンサーから莫大な広告費を得ているとみられる。

 こんな華麗なる経歴も、軍の後ろ盾あってこそ。「ここ10年で民主化は段階的に進んできたが、こうした利権構造も欧米から批判されている。それに危機感を覚えた司令官一族がクーデターを起こしたと見る向きがある」と駐在員は明かした。