南野陽子や中森明菜など、数々の有名芸能人のグラビアや写真集を世に送り出した写真家の野村誠一氏(69)が15日、本紙の電話取材に応じ、悪性リンパ腫のステージ4だったことを明かした。

 悪性リンパ腫とは、白血球の一種であるリンパ球ががん化した病気で、「血液のがん」と呼ばれる。

 野村氏によると、今年1月8日に胃の不快感に襲われ、腹部に軟球のボール大の固い物が2~3個あることに気づいたという。病院で採血やMRIなどで調べた結果、「悪性リンパ腫の疑い」を告げられた。

「『ステージ4』と言われ、頭が真っ白になりました。医師によると、おなかだけではなく、左ひじ関節や鼠径部にもリンパの腫瘍があると。その影響でおなかもどんどん膨れて破裂しそうになって、正直『もうダメだな』と死を覚悟しました。入院前に家族や愛犬、そして自分の遺影用の写真も撮り、親族には『生きて帰れないだろう』と電話して病院に入りました」

 同月19日に入院後、腹腔鏡(内視鏡)手術で検体を採取。腫瘍は大きいもので10センチに及んだという。そして点滴による抗がん剤治療を開始した。幸い、副作用はほぼなかったが、精神的には追い込まれた。

「自分は死ぬんじゃないかと思ったら、夜眠れないんです。末期ですからね。なので、夜中に自分が昔撮影したイタリアやアイスランドの写真を見て気分を紛らわせていました。ささいなことでも忘れられるんです」

 奇跡的だったのは抗がん剤が奏功したことだ。みるみる腫瘍が縮小していく様子が手で触っても実感。本来3週間の入院が、2週間で退院の許可が下りた。

「抗がん剤がすごく効いたんです。おなかのはれも引いて医学の力を感じましたね。私、東京五輪・パラリンピック大会の聖火ランナーなんですよ。現段階で開催できるかわかりませんが、うれしいです。医師や看護師のみなさんに感謝しかありません。自分への退院祝いに、その足で『ライカQ2』を買いに行きましたよ(笑い)」

 抗がん剤治療はあと数回残っているが、同様の症状に苦しむ患者の何かの役に立ってほしいとネットなどで発信していくつもりだ。