「呪われた五輪」負の連鎖どこまで続くのか…昨年麻生氏の発言で注目

2021年02月12日 11時55分

〝五輪の呪い〟に襲われた面々(右上から時計回りに猪瀬氏、舛添氏、竹田氏、佐野氏)

 コロナ禍による開催の可否を巡る問題など、2013年の招致成功以後難局が続く東京五輪・パラリンピックは、ついに運営トップが辞任する事態を迎えた。森喜朗・大会組織委員会会長が女性蔑視発言で引責。思い出されるのは、「呪われた五輪」「五輪には魔物がひそんでいる」なるワードだ。かねて東京大会には「呪われた」との指摘があり、その「伝説」がまだ続いている形となった。

「呪われた五輪」は昨年3月18日の参院財政金融委員会で、麻生太郎財務相(80)が新型コロナの感染拡大で、東京五輪の開催が危ぶまれていることを引き合いに出したワードとして注目を浴びた。

 麻生氏は「札幌で冬季五輪が開かれることになったのが1940年。それがパアになった。そしてその次(80年の)モスクワ五輪ですね。あれ半分吹っ飛んだ。それで今回40年たつと今年です。『呪われたオリンピック』って、マスコミの好きそうな言葉。だけど現実はそうですよ」と発言した。

 1940年の札幌冬季五輪と東京夏季五輪は日中戦争で返上、80年のモスクワ五輪は旧ソ連のアフガニスタン侵攻により、西側諸国がボイコット。そして2020年の東京五輪は麻生氏の発言から6日後にコロナ禍を理由に1年延期となった。

 また「五輪には魔物がひそんでいる」は、メダルが確実視されたアスリートが重圧感から実力を出し切れなかったり、あるいは不慮のアクシデントやトラブルに見舞われたりしたことで、ささやかれてきた。これはなにもアスリートに限った話ではなく、大会にかかわった人にも不幸をもたらすとされてきた。

 この「呪い」と「魔物」のエジキとなったのは、東京五輪関係でも数知れない。振り返れば、東京五輪招致に成功した猪瀬直樹元都知事(74)が、医療グループ徳洲会からの5000万円裏金疑惑で都庁を去ったのが始まりだった。

 続く舛添要一前都知事(72)は公用車での別荘通いやマンガ本購入など政治資金の使途を巡る公私混同問題で失脚。リオ五輪閉会式での引き継ぎ式出席を望んだが、それもかなわなかった。

 都と共同歩調で、五輪招致成功の立役者だった日本オリンピック委員会(JOC)トップの竹田恒和氏(73)も招致を巡る贈賄疑惑で任期満了をもって会長を退任した。

 都知事やJOCのトップだけでない。新国立競技場のデザインを巡っては世界的な建築家のザハ・ハディド氏の案で決定していたが、建設費が高過ぎると批判され、ザハ案はちゃぶ台返しの憂き目に遭った。納得いかないザハ氏は提訴する姿勢も見せていたが、その直後に突然の心臓発作に見舞われ、65歳で帰らぬ人となってしまった。

 この国立競技場を巡る混乱では、森氏の懐刀ともいわれた日本スポーツ振興センターの河野一郎理事長(74)も任期満了で退任し、事実上の詰め腹を切らされた。

 また五輪のエンブレムに選定されたデザイナーの佐野研二郎氏(48)には盗用疑惑が持ち上がり、エンブレムは再募集となった。佐野氏は次代を担う星だったが、誹謗中傷のネットリンチにさらされ、大きく人生を狂わされたのは言うまでもない。

 そして、今回の森氏だ。いずれもが五輪という大舞台があったからこそ、脚光を浴びたが、その裏ではさまざまな利権や思惑がうごめいていただけに世論の反発も大きかった側面がある。

「大会自体を開催できるか分からない。だとすれば麻生氏の発言は一気に真実味を増す」とは五輪関係者。東京五輪はコロナ禍に打ち勝ち、開催できるのか? また森氏の後任となる川淵三郎氏は、負の連鎖を断ち切ることができるのか。“貧乏くじ”とならないことを祈るばかりだが…。

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