脱原発の“進次郎カード”が切られる日はいつか――。小泉純一郎元首相(79)が4日、3月11日に開かれる「原発ゼロ・自然エネルギー100 世界会議~福島原発事故から10年~」に向けた記者会見で、「なぜ政府は脱原発にカジを切らないのか」と訴えた。

 東京電力福島第1原発事故から10年を迎えようとしている中、日本のエネルギー政策はいまだ迷走している。菅義偉首相(72)は温室効果ガスの2050年までの排出実質ゼロを掲げ、脱炭素にカジを切ったが、原子力政策は残したままだ。

「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」で顧問を務める小泉氏は「政府が音頭を取れば、必ず原発ゼロでやっていける。日本は自然エネルギーに恵まれた国で夢がある」と持論を展開した。

 原自連副会長を務める元自民党幹事長の中川秀直氏(77)は「トップリーダーが決断すれば行政は動く。原子力ムラとかしがらみはあるが、トップリーダーをつくるうねり、大きな世論の力をまだつくり出せていない」と指摘する。

 脱原発の支援者の間では、小泉進次郎環境相(39)に期待する声は大きいが、当の本人は正面切って「脱原発」を訴えていない。

 原自連幹事長で、弁護士の河合弘之氏(76)は「今はあせらない。自民党内では河野太郎さん、進次郎さん、若手には(衆院議員の)秋本真利さんとか芽が出ている」と脱原発勢が揃い始めているとする。

「(ソ連の)ゴルバチョフは政権を取るまで共産主義に歯向かわなかった。権力を取ったらやれるワケ。進次郎さんらが今、跳ねると潰される。臥薪嘗胆で、我慢の時で、(脱原発派が政権を取るまでには)あと5年くらいかかるかな」と河合氏は、現時点では自然・再生可能エネルギーの興隆を促す時期だと訴える。

 小泉氏も昨年、進次郎氏について「若造だから(今は)自重している」とその時を待っているとも。まさに〝死んだフリ作戦〟だ。最近はすっかり株を落としている進次郎氏だが、期待に応えられる日は来るのだろうか。