またしても〝失言王〟が大炎上だ。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が日本オリンピック委員会(JOC)の評議員会で、女性理事を増やす方針に関連して「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と問題発言した。女性蔑視とも受け取れる失言に批判が噴出する中、バルセロナ五輪女子テコンドー代表で全日本テコンドー協会理事を務めた高橋美穂氏(46)が本紙の取材に怒りの猛反論を展開した。

 森会長が再び〝舌禍騒動〟を起こした。評議員会(3日)の席上でJOCが女性理事の割合を全体の40%(現在20%)にすることを目標にしていることに言及。「女性がたくさん入っている理事会というのは時間がかかります」「女性の数を増やす場合には発言時間をある程度規制しないと、なかなか終わらないので困る。組織委にも7人ぐらいおりますが、皆さんわきまえておられて」などと発言したのだ。

 この女性蔑視とも受け取れる失言に対してネット上では「会長失格」「時代錯誤」といった批判が噴出している。女性オリンピアンも黙っていない。バルセロナ五輪女子テコンドー代表で全日本テコンドー協会理事を務めた高橋氏は「日本のスポーツ界のトップにいる方の発言としては残念であきれてしまいます」とバッサリ。

 その上で「これは世代ギャップ。悪気がないのが、むしろ厄介なんです。やはりスポーツ界にも定年制を設けるべきでしょう」と厳しく指摘した。高橋氏と言えば、一昨年に勃発したテコンドー協会の内紛騒動で当時の会長だった金原昇氏(66)と真っ向からぶつかり、旧態依然とした体制に切り込んで辞任したことで知られている。大紛糾した理事会中に過呼吸で救急搬送された際に金原氏から「俺も倒れようかな」とちゃかされて大きな問題となった。

 その高橋氏は、森会長の「わきまえておられて」という言葉にも敏感に反応し「女性はわきまえろ、つまり静かにしてろってメッセージに聞こえてしまう」とツッコミを入れた。さらに、男性だらけの理事に囲まれて活動した経験があるだけに、次のような見解も口にする。「政府は2020年までに指導的地位の女性割合30%程度と目標を掲げておきながら達成できなかった。森さんのようなトップの考えが根深く残るからでしょう」

 現在、スポーツ界の女性活躍についてはスポーツ庁が推進。そのトップである室伏広治長官(46)に対しても「森さんのご発言を受けて室伏長官はどうお考えでしょうか? やはり森さんのコメントに対しても男性だと発言しにくいのでしょうか?」とけん制を入れることも忘れなかった。

 最後に高橋氏は「日本の政界もスポーツ界も、まだまだ本当の意味の女性活躍は遠いことを痛感しました」と言って深いため息をついた。いずれにせよ、森会長の失言による波紋はまだまだ広がりそうな雲行き。この日、森会長は「どんなことがあってもやります」と改めて五輪開催を強調したが…。その説得力は失われる一方だ。