24日に告示された埼玉・戸田市議選(31日投開票)が大変なことになっている。定数26に対し、36人が立候補する大乱戦で、しかも個性派候補が揃ったことで、国政選挙並みのにぎやかさとなっているのだ。

 JR戸田公園駅前で、小中学生のサイン攻めに遭っていたのは、歌手のスーパークレイジー君(34)。昨年、都知事選に立候補し、「選挙に行こう」と呼びかけ、特攻服姿での派手なダンスパフォーマンスで注目を集めた。若者世代の人気は圧倒的だが、なぜ市議選に出てきたのか?

「都知事選に出てから、国会議員の先生たちから中身をつけろと勉強会に誘われたりした。都知事選に出る前までは衆院と参院の違いも分からなかったぐらいですからね。今回はダンスとかもしないし、勝ちにいきたい」

 都知事選では芸名使用が制限されたが、今回は「スーパークレイジー君」が認められ、本名の西本誠の名前はどこにもない。名前やポスターのインパクトは強烈だが、パフォーマンスは封印し、地道に駅頭でのチラシ配りに徹している。

 ポスター掲示板で一際、目を引くのは無所属の三谷ありさ氏(34)だ。18歳の時から埼玉を拠点に芸能活動を始め、女優として映画や舞台に出演し、CMモデルなども務めてきた。文化芸術活動の推進を公約に掲げ、「埼玉は芸術家が多いが、(戸田市内は)アーティストさんが活躍する場所が少ないので誘致したい」と訴える。

「戸田を分煙先進都市に!」と喫煙・分煙所の設置拡大が公約の渡久地ゆうき氏(26)の政治団体は「愛煙党」と分かりやすい。ローカルな市議選がここまで華やかになったのは、ユーチューバーでNHKから自国民を守る党の立花孝志党首(53)が地方選に進出した際の成功例が大きい。

「統一地方選のはざまの時期に行われる東京近郊での選挙で、戸田市は〝穴場〟だったが、こんな激戦になるとは予想していなかった」(地元関係者)。スーパークレイジー君も緻密に票読みしたうえで、4か月前に戸田市に引っ越し、選挙に備えてきた。

 地方選ブームの火つけ役ともいえるN国党も黒瀬信明氏(36)を送り込んでいる。「元ラガーマンで、N国では珍しい体育会系。NHK集金人トラブルに対応するコールセンターで働いていましたが、大阪出身の〝熱男〟で集金人を撃退しますよ」(N国スタッフ)

 立花氏やゆづか姫こと新藤加菜広報室長(27)も連日、陣中見舞いするほどの熱の入れよう。コロナ禍で投票率の低下が懸念されるのもなんのそので、市内は熱気にあふれている。