政府の緊急事態宣言でエンタメ業界が窮地に陥っている。

 歌手の西川貴教(50)は24日放送のフジテレビ系「ワイドナショー」で、2月に出演予定だったイベントが延期や中止になっていると告白。その上で「こんなさなかに人を集めて何かしようと思ったお前らが悪い。国に助けてもらうな」という世間の〝視線〟を気にして「なかなか手を挙げづらい状況になっている」と明かした。

 苦しんでいるのは舞台裏のスタッフも同じ。しかしここでも一部で「お前らだけやないやろ」「偉そうなこと言うなよ」という声が飛ぶ。

 西川は「(ネットの)コメントを見ると心がズタボロになります。もう必要とされてないのかなって気持ちになっちゃいます」と下を向いた。

 年初に業界4団体は西村康稔経済再生担当大臣に「緊急事態宣言に対する要望書」を提出。以下3点を強く申し入れた。

 ①イベント開催制限条件については現行のままとすること

 ②コロナ禍とともに公演開催自粛期間が長期化し事業機会、就業機会を喪失している業界に対し、止血となる緊急経済支援策を講じること

 ③(緊急事態宣言に基づく公演中止・延期の場合)公演会場に対する公演事業者のキャンセル料支払い免除措置(公演会場への公的補填)を講じること

 こうしたことを受け、経産省はコンサートなどのイベントを中止・延期した事業者に対し、一回当たり最大2500万円を支給すると発表。東京都をはじめとした緊急事態宣言地域で、かつ宣言中に開催予定だったイベントが対象となる。

 これに芸能プロ関係者は「ないよりはマシだが、付け焼き刃もいいところ。腹立たしいのは、対象が宣言期間中のコンサートに限られる点。コロナの1日も早い収束を願い、宣言期間外でも自発的にライブを中止、延期した事務所はたくさんある。2500万円ではとても赤字を補填することなどできない」と憤る。

 別の芸能プロマネジャーは更なる「負の連鎖」を危惧する。

 昨年10月、日本俳優連合が俳優や声優などを対象に行ったアンケート調査で「死にたいと思ったことがあるか?」という質問に対して、およそ3割が「ある」と回答したことが明らかになった。

 具体的な中身については、複数回答で労働時間やハラスメントなどが多かったという。前出芸能プロマネジャーは「タレントも終わりが見えないコロナとの戦いでナーバスになっている。コロナを理由に給料が歩合制に変えられ、収入がほぼゼロになった人もいる。先行き不安に加え、政府からは満足な補償もない。次回の調査で『死にたい』が3割を超えるのではないかと心配している」と話す。

 西川のように存在意義を自問自答する人は増えている。早急な補償の拡充が求められるが…。