人間国宝の狂言師・野村万作(89)と息子の野村萬斎(54)が21日、大阪市のフェスティバルホールで「狂言三代 祝祭大狂言会2021」(4月25日)の記者懇談会に登場した。

 13年から2年に1度、同所で開催され、万作、萬斎、裕基(21)の〝親子3代〟が出演する。裕基が「二人袴」、万作、萬斎による「月見座頭」、そして、萬斎の新作「鮎」が上演される。

 3世代の共演は前回に続き2回目。萬斎は「ありがたいことです。狂言の家という単位で演じるに際して、3代いる時が一番いい。3世代の花が見られる…自分のことを花と言ってすいませんが、人間模様としての奥行きを見られるという楽しさではないか」と、ちゃめっ気たっぷりに見どころをアピールした。

 続けて「コロナ禍での宣伝というのも難しいものがありますが、一人で喜んだり泣いたりするより、劇場で複数で泣いたり笑ったりする方が大きな作用が起こる。コロナ禍で閉塞感を感じている時に、狂言で大笑いしてもらいたい」と来場を呼び掛けた。

 新型コロナウイルスの感染拡大では、能や狂言も例外なく公演の中止や延期に追い込まれた。

 苦しい状況にある能楽について、万作は「戦争中や戦後の厳しい時代を考えると、今日、舞台が少なくなったり延期されたりすることは、それほどショックは受けていない」と語った。

 そのうえで「それよりも、観客の皆さんのマスクで反応が届いてこない。そういう時に演ずるのは大変つらい。皆さん、笑わなくなっている。笑わなくなった狂言が、これからどうなるのかが気になりますね」と、現状よりも今後を危惧した。