バイデン次期大統領の就任式を20日(日本時間21日)に控えた米国では、トランプ大統領支持派などによる騒乱に備え、首都ワシントンはもちろん、ニューヨークのトランプ・タワーからロサンゼルス動物園まで厳戒態勢が敷かれ、ピリピリムードに包まれている。

 今月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件で5人の死者を出したワシントンは就任式会場でもあることから、再び暴動が起きることを警戒し、全米から州兵2万5000人以上が招集されている。

 米紙ワシントン・ポストなどは、同市内の通りにはバリケードが張り巡らされ、連邦政府の施設が集中する市内中心部には州兵約1万人がすでに配備されていると報道。同市の観光名所である国立公園ナショナル・モールは最短でも21日まで閉鎖されているという。

 一方、ニューヨークでは市役所庁舎をはじめ、トランプ大統領がマンハッタンに共同所有する超高層ビル「トランプ・タワー」など、同氏に関連する施設などを中心に警戒を強めている。

 米ニュースサイト「TMZ」によると、ロスでは行政の建物や上水道設備、送電施設、送電塔などの周辺にフェンスを設置して〝要塞化〟するほか、同市の動物園でも警備を強化している。

 また警察当局は、テロリストが動物園に侵入し、おりを壊して危険な動物を逃がすことで混乱をもたらすことを警戒しているとも報じている。

 ロス郊外のビバリーヒルズでは警察が全力で破壊活動を阻止する構えだ。昨年5月、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官の暴行により死亡した事件を発端に「Black Lives Matter(黒人の命も大事)」運動が広がった際、カリフォルニア州ではビバリーヒルズが大規模な抗議活動や暴動の舞台になったためだ。

 米メディアによると、他にも全米各州では州議会議事堂や行政施設周辺に州兵が動員され、警察と共同で警備体制を整えている。