6月11日、東京・秋葉原の常設劇場「仮面女子カフェ」はいつにない緊張感に包まれていた。昨年8月以来の仮面女子(アリス十番、スチームガールズ、アーマーガールズ)への昇格メンバーが発表される「組閣」があったからだ。

 2部公演のラストに予定されていた発表は急きょ、仮面女子のライブの合間に行われることになった。ステージにはリーダー・桜のどか(25)と候補生6人が並んだ。テラス席から仮面女子メンバーが見守る中、桜が口にしたのは「今回の昇格メンバーは1名だけです」。ファンはざわめき、昇格に自信を見せていた“有力”候補生は下を向いた。「昇格するのは片寄菜々。スチームガールズに昇格です!」

 喜びと感謝のコメントをする片寄菜々(22)。「最後のチャンス」と言いながら三度目の正直とならなかったOZのリーダー・猪狩ともか(24)は後輩の晴れ姿を見ることができず、下を向いたままだった。組閣を終えるとステージでしゃがみ込み、泣き叫んだ。桜に支えられ、立ち上がったがステージの袖でも涙は止まらなかった。ライブ終了後のチェキ会にはタオル持参で参加した。

 猪狩は16日、ブログを更新し組閣発表時の心境を明かした。自信を持って臨んだ3回目の組閣だったが、片寄の名前が呼ばれたときはショックで頭が真っ白になったという。

「発表が終わってステージを降りるとき、全てが嫌になって泣き叫んでいました。もう終わりだ。精一杯やったし……。もう何もかもどうでもいいや。充分頑張ったよ、私。ここで潮時かなって考えました。もう辞めよう、疲れたよ、辞めよう」と卒業を考えた。だが、ツイッターなどで寄せられたファンからの激励、先輩メンバーの励ましを受け、我に返った。みんなを元気にするアイドルを目指していたはずなのに、「気づけばいつの間にか私は万年候補生で年もいってる、次チャンスを逃したら消えちゃいそうな悲壮感漂うアイドルになってたんだ心配されるアイドルになっていた。(中略)悲劇のヒロインみたいに酔っている自分がいたんだと思います」

「勝手に自分で年齢の限界や最後のチャンスと決めていたんです。情けない話ですね…」と、すぐに昇格しなければ後がないと決めつけていた自分の姿勢を反省し、新たな出発を決意。「今からの猪狩ともかは年がいってても、才能が無くても、踏まれても絶対に諦めないアイドル。私は夢を叶えます!」と、前を向いた。

 16日、昇格を決めた片寄の生誕祭は平日夜にもかかわらず、多くのファンで会場は埋まった。猪狩は主役へのメッセージで「すぐに追いつくから待っていてね」と宣言。一方でこの日、お互いに再出発を誓った新城ひめり(21=ぱー研!。22日の2部公演で卒業式)が突然、卒業を発表した。それでも信念は揺らがない。次回の組閣は12月に予定されているが、直近の目標は21日の候補生ワンマンの動員クリアだ。猪狩は「目標(1部、2部動員500人で新しい楽曲)を達成し、ひめりんにうれしい報告をしたい」と意気込んでいる。