NHKが2023年度から、受信料の約1割の値下げに踏み切ることになった。菅政権になってからNHK改革への圧力が高まる中、ようやく重い腰を上げた格好だ。

 値下げは13日に同局が発表した21~23年の中期経営計画で示された。現在、地上波だけで月1225円、衛星放送を含む契約で月2170円と設定されているが、料金の一本化も検討。値下げ額は来年にも決めるというが、約1割を見込んでいる。

 菅首相はNHK改革を重点政策に置き、かねて受信料の値下げを訴えていた。政権発足後は武田良太総務相が機会あるごとに辛辣に改革を迫っていたが、今回の中期経営計画に対し、「初めて改革に向けて大いなる一歩を踏み出したのではないか」と評価した。

 この武田氏の対応にガックリと肩を落としたのは、NHK放送のスクランブル化を訴えている「NHKから自国民を守る党」の立花孝志党首だ。
 自身のユーチューブチャンネルで「武田大臣は受信料を半額にと注文をつけていたのに無視された。菅政権の支持率が下がっていて、NHKになめられているのが如実に表れている。武田大臣は強く言えない。NHKもゼロ回答でないところがうまいところ」と武田氏がトーンダウンした背景を分析する。

 NHKの受信料収入は年間約7000億円で、1割とすれば700億円の減収となる。新放送センター建設計画の見直しや衛星放送の2Kチャンネルの一本化など組織改革も行うとし、身を切る姿勢を示したが、貯金に当たる剰余金は1280億円もあり、数百円の値下げ幅では、とても改革したとは映らない。

 立花氏は「携帯電話の値下げのように切り込んでくれれば、国民は応援した。NHKの改革案をはねのけて、来年の受信料を30%減、半額にするくらいの強権を使わないと菅内閣の支持率は上がらない」と指摘する。菅首相はこのままNHKに屈服してしまうのか。