【現役放送作家X氏の芸能界マル秘裏話】2020年は、コロナ禍で大変な一年となったが、2021年はそれを取り戻すくらいハッピーな年にしたいものだ。干支は2番目となる「丑(うし)年」。牛は昔から、畑を耕したりと農業には欠かせない存在で、地道に逃げることなく手助けしてくれる姿から、丑年生まれは我慢強さに恵まれているといわれており、真面目、努力家、兄貴分といった気質と結び付けられることが多い。その一方で、一度怒らせてしまうと、闘牛のように誰にも止められない性格だともいわれている。忍耐強さが持ち味の丑年はコロナ禍でその力を発揮するだろう。

 そんな干支に生まれたのが、イチローや、騎手の藤田菜七子をはじめ、半沢直樹でおなじみの堺雅人や伊東四朗、篠原涼子や綾瀬はるかなど。山本舞香、今田美桜、桜井日奈子、杉咲花ら23歳の若手女優も目立つ。お笑いでは、四千頭身の後藤拓実や都築拓紀、ブラックマヨネーズの吉田敬・小杉竜一、小籔千豊、バナナマンの設楽統、ロンドンブーツ1号2号の田村淳、ダチョウ倶楽部の上島竜兵、とんねるずの石橋貴明も年男だ。

 牛のように忍耐強く、努力を重ね、成功をつかみ取った男がいる。それが小籔千豊だ。今でも中島みゆきの「時代」を聞くと、コンビを解散し、「吉本新喜劇」に入ったばかりの下積み時代を思い出すという。演者として下っ端ゆえに、セリフもなく、ギャラも少なく、アルバイトをし、1週間にお小遣い1000円でやりくりする日々だったという。それなのに結婚してしまった。「最初の2年は本当にアルバイトして、嫁さんにもお金渡せなかった」と振り返る。「いつになったら、オモロいと認めてくれるんや」と悶々としながら、夫婦で耐え忍んでいたある日の朝、劇場に向かう途中にあった店から「あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ~」と「時代」のワンフレーズが聞こえてきた。思わず「中島みゆき、ホンマか?」と涙が止まらなかったという。そんな時代を耐え抜いたおかげで、小籔の今がある。

 鳥取に住んでいた時にスカウトされ、「やる気はなかった。なんとなく遊びがてらにやってみようと思った」と低い志で、芸能界に入ったのが若手女優の山本舞香だ。ドラマや映画のほか、「王様のブランチ」でもレギュラー出演中だ。

 もともとモデル志望で、演技の仕事に苦手意識を抱いていた。10代のころを思い出してこう話していた。「お芝居とか、本当に泣けとか、笑えとか、セリフ言えって言われて…。急に泣けって、無理っしょ。レッスンとか受けたことなかったので…」

 しかし、丑年女だけあって、簡単には逃げなかった。「見えないところで、指をつっこんで、オエッてやりながら、涙を流した。そうやってましたね」と仰天のエピソードを語っている。

 ダチョウ倶楽部の上島竜兵も、いくつになっても耐え忍ぶ?ことを忘れない。土田晃之によれば、故志村けんさんと上島の関係性で、とてもすてきなエピソードがあるという。上島が、若手芸人が集う竜兵会で野球チームを作った時のこと。

「黒い帽子に白字で『竜』ってししゅうされてて。それで、志村さん、当時、上島さんとよく飲んでたから。そしたら『竜ちゃん、どうしたの? その帽子』、『実は、後輩がね、草野球チーム作ってくれましてね。これ、オリジナルの帽子でね』なんつって。だんだん志村さんが酔っ払ってきて。『なんかお前、生意気だな』って言われて、黒いマジックで、『竜』を塗られるっていうね」

 そんなおふざけがあったようだ。後日、上島は一人だけ審判みたいに黒い帽子をかぶって草野球に来たという。「『どうしたんですか?』って言ったら、『師匠にバレないように、もう一個、同じ帽子を作ってくれ』って。俺らといる時は『竜』って書いてあるやつで、志村さんに会う時は、黒い帽子かぶってて…」と大笑いする。先輩にかわいがられるためには、こういったさりげない努力が重要なのだ。

 ブラマヨの吉田敬は兄貴分気質がある。しかし、ちょっと間違った方向でだが…。ひょっとすると、一度怒らせてしまうと、誰にも止められない闘牛なのかもしれない。いつも合コンで席を共にしていた後輩芸人のロングロング・長尾丈史が吉田の行状を語る。合コンで女の子が終電を気にし始めたときのこと。吉田は女のコらに「帰ったらえーやん」と怒り気味で言ったという。「僕も『ほな帰りやー』っていう感じで言ってて、終電を見送りして帰って来たら、吉田さんが『お前なんで帰してんねん』と。『お前はずっとおってくれのスタンスでおらんと』とメチャクチャ怒られまして、『心の中はおってほしいねん。でも格好つけて言うてるから、お前が言ってくれ』」と吉田は後輩に汚れ役をお願いした。

 しばらくして次の合コンがあった。「終電を気にしてたんで『おっておってや!』と女のコにずっと言ったら、そのコ、終電を逃したんですよ。で、2時間ぐらい飲んで、『やっぱ、うちら帰るわ』って言いだして。で、吉田さんがタクシー代を出したるから送ってあげろって言ってタクシーまで送って帰ってきたら『お前なんで終電で帰さへんねん。タクシー代かさんでるやんけ、俺』って、どっちにしたらいいか分からんくなった」と前出の長尾は困り顔。ここで、吉田は兄貴分??としての顔を出す。「お前はまだ若手で、あんまりテレビとか出たことないから、先輩ってそんなもんや。なんちゅう不条理なフリやみたいなのあるけど、そこで、俺は今回はこういう役かって、瞬時に空気を読んで動かんとアカンのですよ。そういう実践的なことを俺は泣く泣くやってるんですよ」と正当化するが、そんなわけはない(笑い)。