自慢のカスタムカーは絶版へ――。大麻取締法違反(所持)罪に問われた俳優伊勢谷友介被告(44)が22日、東京地裁(村田千香子裁判官)で求刑通り懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡された。薬物事件を受けても伊勢谷被告が出演した映画は「作品に罪ナシ」の判断で予定通り公開されたが、一般企業は相次いで取引を中止。自身がプロデュースしたクルマは販売中止が決まったという。

 伊勢谷被告はこの日、ダークスーツに白のワイシャツ、黒のマスク姿で入廷した。今月1日の初公判ではファンキーなツーブロックヘアで世間を驚かせたが、この日はツーブロックをバッサリとカット。ベリーショートのソフトモヒカンにイメチェンした。

 村田裁判官から判決を言い渡されると、目をパチパチさせながら直立不動で聞いた。

 判決によると、9月8日、東京都目黒区の自宅で乾燥大麻計約13・17グラムを所持した。

 村田裁判官は約13・17グラムは個人としては「多量」と指摘。26~27歳のころに手を出して使用歴は約20年に及んでおり、「関わりが深い」と断じた。

 伊勢谷被告は記者団らが座った傍聴席を見ることなく退廷した。

 人気俳優の薬物事件でかかわった仕事先は大混乱。ただ、伊勢谷被告が出演した映画「とんかつDJアゲ太郎」と「十二単衣を着た悪魔」の配給先は対応を緊急協議した上で、それぞれ10月と11月にノーカットで公開した。映画「いのちの停車場」も同様にノーカットで来年5月に公開される。

 一方、一般企業からは厳しい対応を突きつけられている。

 伊勢谷被告が地球環境の改善に取り組むために立ち上げた会社リバースプロジェクト(以下、リ社)の大釜翼取締役は1日の初公判に情状証人として出廷。同社と取引先の仕事について「ほとんどが取引停止になった」と窮状を口にしている。

 その一つが、カスタムカーだった。

 伊勢谷被告はクルマやバイクが大好き。プライベートのマイカーはベンツやBMWなど高級外車ではなく、宅配や送迎の商用車として知られるトヨタのバン「ハイエース」だ。

 クルマ好きが高じ、国内に多くの顧客を抱えるクルマ内装・外装メーカーとタッグを結成。

「ハイエースの特別仕様の新車(車両価格約400万円)をベースにして伊勢谷が内装、外装にこだわったカスタムカー〝伊勢谷ハイエース〟が製作されました。ボディーカラーは白など3色展開。ボディーにリ社のロゴもペイントしています。価格はオプションで変動しますが、総額で1000万円するのでは?」(関係者)

〝伊勢谷ハイエース〟は今年1月の東京オートサロン(千葉・幕張メッセ)で展示され、自身も来場したことを本人がインスタグラムに記している。今夏から一般発売もされた。ところが、事件の影響で販売は宙に浮いたという。

 内装メーカーは本紙の取材に対し「販売はストップしている状態です」と回答。今後は「仕様を変更して来年以降、販売することになると思います」と説明した。事件以降、協議を重ねていたが、〝伊勢谷色〟を完全に取り除き、〝新カスタムハイエース〟として市場に出すことを決めたという。

 当の伊勢谷被告は判決後、コメントを発表し、「ファンの皆様、お取引先様、関係者の皆様には、改めて心からのおわびを申し上げる」と謝罪。今後については「許される事があるならば、社会活動にいそしむ所存です」とした。

「芸能活動」とは記さなかったが、「社会活動」とは果たして何を意味するのか…。