東京・上野動物園(台東区)で飼育されている上野生まれのジャイアントパンダ・シャンシャン(雌3歳)について、東京都の小池百合子知事は10日、今年末となっていた返還期限を来年5月に延期することで所有権を持つ中国側と合意したと明らかにした。同じく中国から貸与されているシャンシャンの父リーリーと母シンシン(ともに15歳)の返還期限も、5年程度延長される方向だという。

 まさかのサプライズに、上野観光連盟の二木忠男理事長も「上野動物園の福田豊園長から電話をもらって驚いた。新型コロナで暗い話題ばかりだったけど、これで上野の街も活気づいてくれるはず」と声が弾む。

 というのも、シャンシャンの年内返還が迫っていた今月4日に「ありがとう!シャンシャン」と銘打ったお別れイベントが開かれたが、会場に詰め掛けたファンたちから「上野生まれなのにどうして中国に返還しなきゃならないの!?」という声が多数聞かれ、二木理事長も複雑な思いを抱いていたからだ。

 5年延長が決まりそうなリーリーとシンシンは2011年に来日したが、年齢を考慮すればこのまま上野動物園で一生を過ごす可能性は十分ある。それだけに二木理事長の夢は広がるばかりだ。

「シャンシャンにはお婿さんを迎えてもらって、何とか上野動物園に残ってもらいたい。米国の大統領が代わって世界情勢に変化が起これば、パンダ交渉にもいい影響があるかもしれない。シャンシャンがお婿さんを迎えて子供が生まれてくれれば、上野にパンダ3代にわたるストーリーが生まれる」

 もし、二木理事長の夢が実現すれば上野の街が活気づくことは間違いない。偶然か必然か、上野動物園は今年9月に新パンダ舎「パンダの森」が完成したばかり。多頭数飼育が可能になっただけでなく、生息環境に近い環境を整えたことで、繁殖成績の向上につながる可能性がある。

「年明けには夢の実現に向けて、具体的に動いていきたい」(二木理事長)というだけに、さらなる吉報を待ちたいところだ。