2016年にノーベル文学賞を受賞した米シンガー・ソングライター、ボブ・ディラン(79)が、自身の代表曲「風に吹かれて」など、60年以上にわたり手掛けた600を超える全楽曲を米音楽大手ユニバーサル・ミュージック・グループに売却した。同社が7日発表した。

 価格は公表されていないが、米紙ニューヨーク・タイムズは3億㌦(約312億円)以上と報じている。

 デュランの楽曲には「ミスター・タンブリン・マン」や「ライク・ア・ローリング・ストーン」「天国への扉」など数々の名曲がある。今年は8年ぶりに新曲「最も卑劣な殺人(Murder Most Foul)」を発表。ケネディ大統領暗殺をテーマにした大叙事詩で、同曲は17分間に及ぶ。

 ジョディ・ガーソン同社CEO(最高経営責任者)は同日、「その文化的重要性は評価してもしきれないほど偉大なシンガー・ソングライターによるキャリアの全てを担当できることは特権であり責任である」とコメントした。

 米欧メディアによると、音楽業界は近年ストリーミング配信が主流になったことで、楽曲所有権の価値が急激に上昇。コロナ禍による世界規模での公演中止がこの流れに拍車をかけている。

 最近では米投資ファンドが米人気歌手テイラー・スウィフトの楽曲を3億㌦以上で取得。また先週、フリートウッド・マックの女性ボーカリスト、スティーヴィー・ニックスによる全楽曲の所有権の80%を音楽出版事業者が1億㌦で購入したことが報じられた。

 フリートウッド・マックは1978年の名アルバム「噂」が42年ぶりに全米トップ10に返り咲いて大きな話題を集めた。