【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】45歳とは到底思えぬあどけなさとみずみずしさを保ち、台湾で大活躍なのがビビアン・スー。地元日刊紙・聯合報は「まるで防腐剤が入ってるかのよう」「時を凍らせている」と評するほどだ。

 エグゼクティブプロデューサーも務めた出演映画「孤味」(邦題・弱くて強い女たち)は、先月6日に公開されるや台湾全土で高い人気を呼び、同27日には興行収入1億台湾元(約3億7000万円)を突破。蔡英文総統が与党・民進党関係者を伴い、映画館を貸し切りで鑑賞したことでも話題になった。

 同作は、屋台を切り盛りし、娘3人を育て上げ、70歳の誕生日を迎えたシングルマザーが主人公。そんな老婆の元に、音信不通だった夫が他界したという知らせが届き、夫の晩年に寄り添った女性が現れ…という話。ビビアンは三姉妹の次女役を演じた。

 中華圏3大映画賞の一つで台湾最大の映画賞「金馬奨」で同作は6部門にノミネート。主役の陳淑芳(81)が最優秀主演女優賞に輝いた。先月の授賞式でビビアンはプレゼンターを務め、胸元が大きく開いたシースルードレス姿で華を添えた。

 ただ、受賞者発表をもったいぶって5分以上も引っ張り「ふざけすぎ」「権威ある賞や他の受賞者に失礼」などとネットで批判されるハメに。すぐに謝罪し取りなしたが、25日には鼻をほじって歯科医院に出掛ける姿を“台湾の東スポ”蘋果日報にパパラッチされた。1990年代後半、日本でバラドルとして人気だったころの天然ぶりは今も健在なようだ。

 そんな無防備オフショットが世に出た日、来年3月開催の音楽祭にビビアンが出ると発表された。するとオンライン販売されたチケット2万枚以上が、わずか3分で完売。日本でかつて、ウッチャンナンチャンの南原清隆、キャイ~ンの天野ひろゆきと組んだ「ブラックビスケッツ」でミリオンヒットを飛ばしたが、歌手としても変わらぬ人気を見せつけた格好だ。

 2014年にシンガポールの海運会社CEOと結婚、翌年の男児出産を経て、今年はデビュー30周年。今夏公開の映画「コンフィデンスマンJP プリンセス編」には、シンガポール大富豪の長女役で出演した。

 聯合報の取材で美貌を維持する秘訣を聞かれた本人は「野菜中心で炭水化物の少ない食生活」「忙しくても週4日はエアロビクス、筋トレ、ヨガ」「お肌はとにかく保湿」などと答えている。(室橋裕和)

 ☆…むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く」(辰巳出版)