78歳足首捻挫で大丈夫か? 米市場は早くも「アフターバイデン」

2020年12月01日 11時30分

こんな調子で大丈夫なのか(ロイター)

 イテッ、次期米大統領の足の骨にひび…。バイデン氏(78)が先月29日、愛犬と遊んでいた際に足を滑らせて右足首を捻挫し、骨にひびが入ってしまった。様々な健康不安の臆測が出ていた中での出来事に「やっぱり」「大丈夫?」との声も出ているが、株式市場はNYダウが史上最高値を更新するなど絶好調。投資家は既に“アフター・バイデン”を見据えており、バイデン氏が途中退場となった方が、むしろ好都合というのだ。

これで世界のリーダーたる米大統領が務まるのか。骨折報道のバイデン氏を世界中が心配している。バイデン氏は愛犬のジャーマンシェパード「メジャー」と遊んでいた際に、右足首を捻挫してひびが入ってしまい、数週間は足を保護するブーツの着用を余儀なくされるという。

 これまでもバイデン氏は、言い間違いのあまりの多さから認知症疑惑がかけられ、大統領選中にトランプ大統領にイジられるなど健康不安説が流れてきた。バイデン氏の骨折にトランプ氏はツイッターで「お大事に!」と寄せたが、内心は「だから、言わんこっちゃない」とでも言いたげだ。

 もっとも株式市場は「トランプ退陣」で絶好調だ。バイデン氏の勝利が確実になってからNYダウは急上昇し、一時3万ドルの大台を突破。これに影響を受けた日経平均も29年ぶりの高値をつけるなど、世界的に株高が進んでいる。

 敗戦したトランプ氏がそのまま政権に居座った場合の混乱の懸念が和らいだことや、新型コロナウイルスのワクチン開発のメドが立ったことが要因だが、何よりバイデン氏の掲げる経済政策が好感を与えている。

「地球温暖化対策など環境政策を重視するバイデン氏の政策は新たな雇用を生み出すと考えられている。ここ30年ほどは環境関連の主要な法律が議会で可決されてこなかったが、これもバイデン氏は議会承認を必要としない大統領令で乗り切るつもり。株式市場はこれを見越して、ぐんぐん伸びている」(経済アナリスト)

 これまでエネルギー大国の米国は、環境政策に本腰を入れてきたとは言えなかったが、ここにきて2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると公言するバイデン氏の大統領選勝利で環境が一変。再生エネルギー関連産業に脚光が当たり始めている。

 しかし、このところの株価上昇には、さらなる投資家たちの深慮遠謀も見え隠れする。

 投資家たちが見ているのはバイデン氏ではなく、その後ろにいる米国史上初の女性副大統領となるカマラ・ハリス氏(56)だ。

「ハリス氏はサンフランシスコの検事やカリフォルニア州司法長官時代、環境汚染を引き起こした企業を多数提訴した“環境保護強硬派”としての実績がある。そのため、バイデン氏以上に環境政策に取り組み、積極的な政策を打ち出すというのがもっぱらの見方。それもあって投資家たちには、バイデン政権はハリス政権への“移行チーム”と揶揄する声もあるほど」(前出の経済アナリスト)

 そんなことを知ってか知らずか、バイデン氏は29日、ホワイトハウスの広報の要職を女性で固める人事を発表。さらに、財務長官には女性初となるイエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長の起用が有力視され、国連大使には黒人女性のリンダ・トーマスグリーンフィールド氏の起用を決めるなど、話題作りに必死だ。

 米大統領選は一般投票の結果を受けて8日に選挙人が確定し、14日に選挙人投票となる。その結果をもって、来年1月20日に就任式となるが、この間にバイデン氏の身に不測の事態が起き、職務を遂行できなくなったとしても副大統領のハリス氏が繰り上がる。もちろん大統領任期中の4年間も同様だ。

 史上最高齢での就任となるバイデン氏は4年後の次期大統領選では、ハリス氏への禅譲が既定路線。とはいえ、投資家は4年も待てずにさらなる“株価高騰”となる史上初の女性大統領誕生を不謹慎ながらも望んでいるのが本音ともいえる。今回は骨折で済んだが、バイデン氏の健康不安は、今後もさまざまな思惑をもって注視されることになる。