名脇役・渡辺いっけい(58)が13日、都内で行われた初主演映画「いつくしみふかき」の舞台あいさつを行い、先輩俳優・金田明夫(66)との〝共演NG説〟について語った。

 同作は「悪魔」と呼ばれるほどのダメ男(渡辺)と、そんな父を30年間知らずに育ったニート息子の話。2人の間を取り持ち、実の親子と知らないまま共同生活させる牧師役を金田が演じた。

 渡辺と金田に共通するのは、ドラマに欠かせない名バイプレーヤーということ。名前は知らなくても、顔を見れば「あ~この人!」と分かるはずだ。ただ共演歴はあるが、芝居でガッツリ絡んだのは今回が初めてだ。

 その理由について「いっけいちゃんが共演拒否」と金田が言い出すと、渡辺は「おっしゃったじゃないですか? 多分、ちょっと同じカテゴリーの役者だから、かぶってるんじゃないかって」と指摘。それを思い出した金田は「僕ら2人、1時間ぐらいドラマ出たら、濃すぎますよね」と話した。

 撮影では、カットをかけるのもはばかるほど、面白い掛け合いシーンがあったとか。

「どっちかが吹く(笑って吹き出す)までやるって…。しかもギリギリまで、(本編で)使ってるんですよね」(渡辺)、「あそこで終わりだと思ったらば、まさかっていう…」(金田)と2人も記憶がよみがえる。

 金田は「ちょうど、いっけいさんとはやりたいと思ってた」そうで、渡辺に「楽しかったですね」「またやりたいですね」と声をかけた。半ば強制的に同意を求められた渡辺は、遠慮がちに「お願いします」。だが金田は「よかった、共演NGじゃなくて。わだかまりが1つ(溶けた)」と満足気な顔だった。

 同作は7年かけて完成し、新型コロナウイルス禍で公開延期になりながらも観客動員1万人を達成。「インディーズ映画にしては結構、評判がいい」(ベテラン映画ライター)。東京・テアトル新宿で19日まで再上映される。