タイ政府の「世界最大“オカズ”サイト」遮断は愚の骨頂か

2020年11月15日 10時00分

「Pornhub」の帽子をかぶって抗議活動する男性(ロイター)

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】タイ政府は今月2日、サイバー犯罪法に基づきポルノやギャンブルなど国内外およそ190のサイトへのアクセスを遮断した。その中に含まれたのが、世界最大のエロ動画サイト「ポルノハブ」だ。

 同サイトはカナダが拠点で、世界中のエロ動画が閲覧できる。動画共有サイトとしての規模は、ユーチューブに次ぐ世界2位。違法アップロードも多いが、あらゆるジャンルを網羅しており、世の男性たちの格好の“オカズ”になっている。

「2日から突如、ポルノハブにアクセスできなくなってしまった。SNSには混乱した地元男性たちの悲痛な叫びがあふれた」と嘆くのは首都バンコク在住の駐在員だ。

 というのも、タイは毎年サイトアクセス数が世界ベスト20に入るポルノハブ愛好国(ちなみに1位はアメリカ。日本は2位)。しかもゆっくり時間をかけ視聴する傾向で、タイは平均視聴時間が11分21秒と世界最長なのだ。

 SNSでは抗議活動が拡散し、ハッシュタグ「#SavePornhub」も自然発生。翌3日には政府合同庁舎前に“エロデモ隊”が集結。プラカードや垂れ幕を掲げポルノハブへのアクセスを訴え、「我々は大人としてウェブサイトを選択する自由がある」「孤独な男性を傷つけないで」などと叫んだ。

 調査会社の発表によれば、検閲を回避できる仮想ネットワーク「VPNサーバー」についての検索数が、タイで640%アップしたとか。

 社会不安につながりかねない情勢を見て、デジタル経済社会省のプッティポン・プンナガン大臣は6日、「ポルノハブにはかねて不適切な動画が多数アップされており、仏教界、性的搾取の被害者の声を受けアクセス遮断に踏み切った。子をもつ親なら理解してもらえると思う」と説明。今後も規制は強める方針で、デジタル経済社会省ではさらに200以上のサイト遮断を計画しているという。

「タイは奔放な国のようで、実は表現に対する規制が厳しい。ちまたに出回っているエロ本も露出度は控えめ。だからエロ関係は日本のAVをはじめ海外サイト頼みなのだが、法的にはグレーだった。そこをキッチリ取り締まろうということなのだろう」と駐在員。

 折しもタイでは、週末ごとに激しい反政府デモが繰り広げられている最中。市民たちの要求は軍事政権の退陣や王室改革などだが、エロサイト遮断による“下半身への締め付け”がさらなる反発を呼ぶのではとも言われている。

 ☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く」(辰巳出版)。

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