大手ユーチューバー事務所「VAZ」の森泰輝氏が28日、SNSで代表取締役を退任すると発表した。
同氏はツイッターで「2015年に創業したVAZの代表取締役を退任します。僕の力が及ばずこのような結果になってしまい、投資家の皆様、そして応援してくださった皆様に申し訳ない気持ちでいっぱいです。今日までお力添えをいただいた方々に深く感謝します。」とコメント。
森氏は10月23日に代表取締役を退任済み。所有する全株式を共同ピーアール株式会社代表取締役社長の谷鉄也氏個人に譲渡し、今後は谷氏が同社の経営を担う。森氏はファウンダーという立ち位置で同社に関わっていく。
かつてのVAZはトップユーチューバーのヒカルやラファエルを抱える人気事務所だったが、近年は退所者が相次いでいた。今年に入ってもチャンネル登録者数310万人の「スカイピース」や「まあたそ」(同187万人)、先月には約100万人の登録者を持つ「ねお」が報酬や契約をめぐり同社と対立したのち、一方的に契約解除を発表する事態となった。
ヒカルはねおの契約トラブルに際し、自身の動画チャンネルで「俺はVAZが嫌いじゃないけど、VAZの経営陣、そして(森)社長、あの辺が全部嫌い」と発言。
こうした騒動も退任の背景にあるとみられるが、森氏は「note」の中で、直接的な原因はコロナ禍による急速な広告収入の減少を挙げている。企業からの広告出稿やタイアップ案件の中止が相次ぎ、事業の継続が難しくなる可能性が出てきたことが決め手になったという。
業界関係者によると「他の事務所もVAZのケースは対岸の火事ではない。潰れる事務所や廃業するクリエイターは今後どんどん出てくるだろう」という。
ユーチューバー業界も大きな転換期に来ているようだ。