カンガルーを食らえ! 高タンパク&低脂肪でアスリートも愛好「臭みがなく牛赤身に近い」

2020年10月27日 11時15分

カンガルー肉は脂肪が少ないのが特徴だ

 カンガルー肉提供店が急増中! ブームを呼んだ牛赤身、羊、鹿などのジビエに続く肉として、最近、注目されているのがカンガルーだ。高タンパク&低脂肪がアスリートに愛好され、居酒屋やバルなど扱う店も増えている。一方で食材としてなじみが薄い日本人には「かわいそう」という感覚もある。実態はどうなのか。オーストラリアからカンガルー肉を輸入し「ルーミート」ブランドで販売するバセル社(東京・大田区)の長友隼人エリック氏に話を聞いた。

長友氏によれば、同社のカンガルー肉の販売量は「本格的に売り出した2014年比で昨年は8倍以上。だいたい前年比1・5倍から2倍のペースで伸びてきました」という。

 増加の背景にあるのが肉関連のブーム。牛の赤身肉、熟成肉、馬肉、羊肉、鹿や猪などのジビエ肉といったブームが起こって定着するなか「他の店にはない肉を扱いたいオーナーさんが増えている」と、他店と差別化できる食材として市場を広げてきた。

 さらに筋トレブーム、キャンプ&バーベキューブームも追い風になっている。

「高タンパクで低脂肪な上に、脂肪を減らし、筋肉を増やすといわれる共役リノール酸が牛肉の6倍あり、他の肉より多い」ことが、ボディーメークしたい人たちの目に留まった。また「バーベキューに他の人と違う肉を持っていきたい方の需要もあります」。一部の人はすでに飛びついていたのだ。

 オーストラリアではスーパーでも入手できるが、日本はまだ販売している店舗が少なく、通販が主体。味は「臭みがなく、牛赤身に近い」。ステーキ、カツ、カレーなど牛肉と同じように料理できるという。

 一方、カンガルーを食ベ慣れていない日本人には「かわいそう」「食べていいの?」という疑問も浮かぶ。この点について長友氏は「実はオーストラリアではカンガルーが増え過ぎ、数を抑える必要に迫られているんです」と、こう説明する。

「約50種いるカンガルーのうち、5種類ほどが5000万から6000万頭まで増え、このまま増え続けると、残りの45種類が絶滅に追い込まれます。また農作物の被害、牧草を食べられる被害、自動車とぶつかって人が死ぬ事故も多発するなど、現地では一種の害獣で、オーストラリア政府にとって頭痛の種なんです」

 オーストラリアの人口は約2500万人。飼育されている牛は約2700万頭。カンガルーはその倍以上の数だという。

 狩猟を認める州では、その年の個体総数の10~20%を捕獲枠としてハンターに割り当てている。ただし「オーストラリアでは単なる“駆除”はできません。狩猟したカンガルーは必ず商業的に流通させねばならない。需要が増えないと捕獲頭数も増えないんです」(長友氏)という。

 食用としての流通量を増やすことが、カンガルーの種や生態系を守ることにつながっていくのだ。

 高タンパク・低脂肪でさっぱりした肉は、意外に日本人の好みに合っていそう。食欲が増すこれからの季節、試してみては?